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会議番号:3169 開催期間 2012年05月28日- 06月04日
週の後半になっても数多くの投稿が届きました。 皆さま、ありがとうございます。 最後の議論は、糖質制限についてでした。糖質は炭水化物とも呼ばれ(厳密には両者は異なりますが、一般的には同じと考えてよいでしょう)、蛋白質・脂質と並ぶ三大カロリー源です。 かつてダイエットと言えば、アブラを控える脂質制限ダイエットが主流でした。1g当たりのカロリーは、脂質9kcal、糖質・蛋白質4kcalですから、脂質を控える=摂取カロリーが減る(つまり、カロリー制限)という理論です。蛋白質・脂質・糖質のバランスは、それぞれの頭文字をとってPFCバランスと呼ばれ、F(脂質)については25%E(エネルギーに対する割合)という目標量(上限)が定められています(日本人の食事摂取基準)。 健康な人の目安としては、蛋白質:脂質:糖質=15~20:20~25:55~65(%E)くらいでしょう。ちなみに、現在の日本人の脂質摂取割合は平均で約25%Eとほぼ適正範囲です(国民健康・栄養調査結果)。 さて、近年話題のダイエット法は、カロリー制限ではなく、糖質制限。 これは、糖質摂取量(血糖上昇量)に応じて分泌されるインスリンを減らし、脂肪合成を抑制しようというものです(インスリンは血糖を下げるホルモンで、脂肪合成を促進します)。インスリン分泌は糖質の質と量に依存しており、複合糖質(ご飯・麺・パン・芋類など)より単純糖質(砂糖などの)の方が血糖の上昇が早く、インスリン分泌は多くなりがちです。 また、糖質を単体で摂る(おにぎりだけ、パンだけなど)のではなく、蛋白質や脂質、食物繊維と一緒に摂ることで、血糖上昇のスピードが緩やかになり、インスリン分泌は少なくて済みます。単純糖質より複合糖質、糖質は単体で摂らない、この2つを意識するだけでも、軽い糖質制限になります。 さらに、ヒトは1日の摂取カロリーの大部分を糖質で摂っているので、糖質を制限することで、結果的に摂取カロリーが減る可能性も大なのです。 今、栄養学の世界では、ダイエットには、脂質制限と糖質制限のどちらが効果的か? という研究と議論が盛んです。さらに、糖質を制限すると必然的に脂質の摂取割合が増えるので、議論は、どこまで糖質(%E)を減らすのがよいのか、どこまで脂質(%E)を増やしてよいのか、に及んでいます。超低炭水化物食と呼ばれる食事法では、糖質を10~20%Eにまで落とし、脂質を55~65%Eとかなり高く設定しています。 しかし、こうした研究の対象者は、治療を必要とする肥満者(BMI≧30)が多く、海外の研究ではBMIが40を超えるような重症肥満者を対象としているものもあります。つまり、やや太めや、肥満を予防したい……という方々に適用できる結果ばかりとは限らないのです。 そこで、栄養情報源として最も信頼出来る国立健康・栄養研究所の知見を見てみました。「肥満を予防する場合と治療する場合とでは至適な脂質割合が異なり、一般人が肥満を予防する場合には20〜30%未満の脂質割合が良く、60%にすると血管内皮細胞の障害やケトーシス(血液中のケトン体が異常に増えた状態)を生じ、長期の安全性は明らかでない」と記載されていました。 以上、今回の投稿にも多数あった通り、極端なダイエットではなく、地道で規則正しい節食と継続的な運動が大切だということです。さらにつけ加えるならば、太ってしまってから痩せるのはとでも難しく、痩せたとしても高確率でリバウンドが起こりますから、太らないようにする! これが究極のダイエット法 とも言えるでしょう。 最後に、ダイエットは人生の目的ではなく、手段だということも忘れないでくださいね。ストイックなダイエットでイライラしたり、集中力を欠くようでは本末転倒です。ダイエットは、あくまで快適な人生を送るためのものです。 一週間ありがとうございました。
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