イー・ウーマン（ewoman）

中高6年間で学んだこと（あきんぼ・東京都・44）

人間として社会で必要な能力は中高の6年間で学んだと思います。国立の中高(＝実験校)で、学校のことは生徒が主体的に運営すると言う伝統があり、先生方は勉強や進学に関して口出しせず、学びたい子、相談に来た子には熱心に指導する校風でした。中1のときから、自分で課題を探してレポートを書く宿題があり、最後の2年をかけて、その総集編のような自由研究をしました。何でも自分で考えて動かなければ、楽しいこともないのだと学んだ6年間でした。

「出る杭を伸ばせ！」でしょう（ぱーと救急医・千葉県・38）

出身中高の教育モットーです。とにかく発言し、行動することを求められた学生時代でした。例えば、つくば研究学園都市の中でしたので、研究所見学があるのですが、当日のルートや見学する研究所は子どもたちで話し合って、小グループで行動します。研究所のパンフレットを読み、行ってみたいところを決め、見学順路を決める。移動手段を調べ、費用を申請して、最終的に見学後のレポートまで作る。先生はヒントはくれますが、基本的にはほっておく。それができたことだと思います。

意識しなくても身につけたこと（みちすい・沖縄県・38）

社会に出たときはどのように振る舞ったらよいか戸惑いましたが、慣れるにつれ、学んだことや知識を新しい経験に当てはめ行動できた。意識せずとも学校では、幅広い基礎的な知識、わからないことの調べ方、コミュニケーションなどを学ぶことができたと思う。「私はこう思う、なぜならば……」という伝える力は、絶対に伝えたい場合や、選択を迫られた場合に磨かれる力だなと思うので、そこは意識的に訓練する必要があるが、ベースは今まで学んで来たことを生かせると思います。

小さな達成感と成功の積み重ねで（piccocherry・茨城県・45）

自分の子どもやそのお友達世代をみていると、何事も「自分事」としてとらえる感覚が欠如していると感じます。主体性が欠けています。子どもの頃から、小さな達成感と自信を積み重ねることで、「自分が切り拓くのだ」というエネルギーが生まれるのではないかと私は思います。小中学生の頃、算数・数学で一つ上の学年の問題を「あなたならやれるよ」といって個別に用意してくださった先生に今でも感謝します。生き生きとした人間味あふれる先生が居づらくなってしまったことに危機感を感じます。

ベースになる部分は学校かと（ことまま・千葉県・42）

私は学生時代に1週間強英語研修で行ったアメリカに留学したくて、一度社会人になってから自分でお金をためて念願の留学をはたし、短大卒業後再就職しました。日本での学生時代には、自分で行動して実行する力をそれなりに身につけ、仕事でも役に立ったとは思います。でも、アメリカでの学生生活でかなり自分の考えや価値観が変化し、ある意味アウェーでの経験がとても大きかったと思います。みんなと違ってもいい、黙っていたら誰も気づかない、日本にはない環境で学ぶことは多いと思います。

学校では「失敗から学ぶ経験」を（paozoo・東京都・40）

仕事の失敗から得たものはたくさんありますが、学校ではほとんど失敗をしたことがありません。思えばあまり挑戦をしてきませんでした。それは、①失敗するのが怖かった　②成否に関わらず周囲から浮くと思っていた　③そんなリスクを取ってでもやりたいと思うことがなかった、からです。今では学生の失敗なんて大したことじゃないと思えますが、当時は一度ついた評価がずっと自分について回ると思っていました。どんなことでも、若いうちから失敗から学ぶ経験をしておけば良かったと思います。

主体性を持って生きる力を（ともとも16・群馬県・40）

大学時代に会った友人は、いつも新聞を片手に疑問があるとあらゆる情報を集めていた。その友人と会い、学ぶことはこういう事だと気づいた。つまり自分で目的意識を持ち、情報を集めそれを文章化したり、人に伝えることである。学校教育の中では受け身的になる為、社会で必要な能力は育ちにくい。もう少し自由を与え、主体的に学びそれを相手に伝えていける教育が必要である。現実の教育と社会で必要なものにずれがあると思う。

社会をしらなすぎた（tibiko・大阪府・41）

私が社会人になる前に卒業した学校は、企業派遣生（企業に在職して給料をもらいなから学んでいる方）が3分の1ぐらいいらしたので、社会人の方との関わり、上下関係がこんなものだということは、学べたと思います。が、その当時の社会情勢などを知らなかった為、就職先を探すときに範囲をさばめすぎたなと、もっと広い世界をみることができていれば人生も変わっていたかもと、感じています。

主体性……よくわかりません（ayaPa・神奈川県・35）

子どものころは積極的でした。よく手を上げてリーダーを引き受けましたが、自分だけが張り切って、誰もついてきてくれないと気づいてから、我を通していただけなのではないかと怖くなり、リーダーをやらなくなりました。そして、全体をうまく運営していくために、リーダーを補佐する副リーダーを引き受けるようになりました。「主体性」はっきりとわかりかねますが、社会に出たら、それぞれの立場でそれぞれの役割をまっとうすることが大切だと思います。

学校の役割（ユズコ・東京都・57）

私は、親から、そして私の子どもたちへ、学校は勉強しに行くところと伝えられ、伝えてきました。学校で、実社会で役立つ学問は学んだと思います。その一方で、その学問を活かす知恵の土台は、家庭で学んだように思います。社会人になり、その出会いの中で学んだこともありますが、出逢いがあったから幸いというところでしょうか。誰にでも当てはまるということにはならないかもしれません。

たくさんのご意見、どうもありがとうございます。みなさんのご意見でも、主体性が非常に重視されていることが分かります。
 
あきんぼさん、ぱーと救急医さんのように、学校の方針が「自分で考えて行動する力を育てる」となっている場合はとても良い学びの場になることが分かります。高校までの教育を変えることで、主体性や積極性が非常に伸びるという好事例だと思います。こういった学校を増やしていくことが大切ですね。
 
一方で、ともとも16さんやpaozzoさんのように、目的意識を持てず、挑戦したり、失敗から学んだりする機会をそもそも持てなかったというご意見もありました。確かに、高校までの授業では幅広い知識を先生から一方的に受け取るだけになりがちです。
 
私も大学で多くの学生の教育に携わってきましたが、高校まで受け身で学ぶことが多いためか、最近の学生は大変まじめに勉強に取り組む一方、「自分で」選択せず、与えられるものを淡々と受け取る傾向にあると感じています。与えられたことについては非常にまじめに取り組むものの、自分から課題をみつけて挑戦しようとしたり、取捨選択したりしない、「指示待ち人間」になっていないでしょうか。
 
進学率が上昇し、高校卒業後すぐに社会に出る方は少なくなり、大学や専門学校などに進学する方が増えています。今回いただいたご意見では、あまり大学のことにふれられていませんでしたが、みなさんは、大学等で主体性や積極的に自ら考えて行動する力を身につけることができましたか？特に、授業を通して身につけられたという方は、どんな取組であったのか、是非ご意見をお寄せください。また、授業以外の部活動や学校以外の取組についても、幅広いご意見をお待ちしています。

• 2011.08.24
• 鈴木 寛 文部科学副大臣　参議院議員