イー・ウーマン（ewoman）

皆さま、こんにちは。
2020年に働く人の円卓会議で『「フェムテック」って知ってますか？』というテーマで議長を務めさせて頂いた竹之下千尋(Twitter @chihiro_takeno)と申します。今回は、技術の力で女性の健康を支援する、女性(female)と技術(technology)を掛け合わせた造語の「フェムテック(femtech)」という市場の中でも、最も投資が集まり注目されている、アメリカの不妊治療ビジネス事例をご紹介し、日本市場適用における課題や必要性について議論したいと思います。
 
世界経済フォーラムによると、日本は、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数が、153カ国中121位と、先進国の中では圧倒的に低い水準に位置していて、性差によって女性の活躍が妨げられている現状にあります。こうした状況下で、近年日本でも、性差に関係なく女性が社会で活躍することを望む声、キャリアと家庭の両立支援の必要性、そして女性の性特有の悩みを解決するためのニーズなどが、高まりを見せ始めています。
 
女性がより自由に生き方や働き方を選択することができるような社会を築く支援策の一つとして、欧米のフェムテック先行事例が参考になるのでご紹介し、皆さまと意見を交わしたいと思います。
 
企業の資金調達情報を分析するPitchbookによると、米国と欧州におけるフェムテック市場規模は、2025年までに500億ドルに到達するという予測されていて、2019年には5921万ドルの投資が集まりました。同レポートによると、女性が年間5000億ドルを医療費に費やしているという試算額に対して、女性の健康問題に特化したヘルスケア研究開発はわずか4%しか実施されておらず、フェムテックは、ヘルステックの中でも著しく未発達で成長余地のある市場であることが分かります。



フェムテック市場は、女性の年齢やライフイベント毎の多様なニーズに答える複数領域に渡って、サービスやプロダクトが増え続けていて、特に妊娠・不妊・出産に関する分野を中心に成長しています。
 
具体的には、2020年12月時点で資金調達額の高いフェムテック・スタートアップ企業上位10社は、半数以上が不妊治療課題を解決する事業を展開する企業でした。不妊治療分野の中に複数カテゴリーが存在し、1200万ドル資金調達済みの体外受精の自動化ロボット開発企業TMRWのようなプレイヤーがいるインフラ・物流分野、高額な不妊治療費を支払うことが困難な人向けの、分割払いや定額制プランを提供する治療費ファイナンス支援分野、不妊治療を企業の福利厚生として導入運営する分野、フェムテックという造語を作り広めたドイツ発Clueのような不妊治療・月経トラッキング分野などがあります。
 
さらに、3700万ドル資金調達したModernFertilityのような自宅用ホルモン検査分野、サプリメントなどの小売業分野、FertilityIQのような教育・情報プラットフォーム分野、ママ友が繋がることのできるPeanutのようなコミュニティ分野、女性が思わず立ち寄りたくなるようなオシャレなブティックのようなクリニックを経営する医療機関分野、24時間どこからでも専門家に相談することのできるオンライン診療分野など、「不妊治療」事業分野は多岐に渡ります。
 
　上記に挙げたような、女性の妊娠・不妊治療に関わる解決策を提供する、アメリカの最新不妊治療事情、興味ありますか？是非、皆さまが女性の健康、特に不妊治療に関わるお悩み、ご自身が経験したこと、課題に感じていること、興味を持っていることなど教えてください！


★竹之下議長の過去の円卓会議
・「フェムテック」って知ってますか？
 
★関連するテーマ
・オンライン診療スタート。使いますか？
・相談できる婦人科医、いますか？

• 2021.03.12
• 竹之下千尋 一般社団法人国際ヘルステック協会代表理事・Healthtech Women Japan代表/一般社団法人ヘルス・アンド・ウェルビーイング・アライアンス理事・Womb Business Incubator Co-founder/日本臓器製薬株式会社海外事業本部企画部部長