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会議番号:3592 開催期間 2020年05月01日- 05月08日
今回は、YESの割合が76%と1日目の79%より少し下がりましたが、皆さんの回答は大変読みごたえがありました。 国にとって個人の所得情報はプライバシーではありません。現に税務署ですべて把握しているのですから。しかしこれが外部に流出すれば、わが国では大きなプライバシーの問題になります(スウェーデンなど個人の所得情報を誰もが見られる国では問題にはなりません)。そのように、何がどこまでプライバシーの問題かということは国によって、歴史によって異なる問題でしょう。私が注目しているのか、今回のコロナ禍で、どこまで国民の認識が変わるかということです。 皆さんの議論の中で、「生活全ての情報がマイナンバーによって紐付けされる」(パフィンドーナッツさん)、「一括管理された個人情報の流出が心配」(マカロン71さん)という意見がありました。国は個人の情報を分散して管理しており(税は税務当局、年金は社会保険庁・・)、その間の紐づけをするには、一つ一つ法律改正が必要です。 現在の日本では、所得情報を社会保障給付に活用することが(生活保護の場合を除き)できないようになっており、今回の給付が遅れたり、給付に所得条件が付けられないのはここに理由があります。つまり一括管理は厳しく規制されています。その意味では、「すべてが紐づけされてどこかで見られてしまうという誤解が蔓延」(DiamondBarさん)しているという意見は正しいと思います。 私も、中国のように、個人の履歴などがすべて一括管理される監視社会には絶対反対です。しかしデジタル時代にふさわしいセーフティーネットを構築するために活用することはあってもいいのではないかと考えています。 欧米諸国では、所得情報と社会保障給付を関連付けたワーキングプア対策として給付付き税額控除という制度が導入されています。低所得者には勤労を条件に一定の給付を行い、また職業訓練をセットで提供する制度で、番号により所得情報を給付に結びつけるコンピューターシステムが必要となります。今回のコロナ支援で「手早く」「本人からの申請なしで」「銀行口座位に振り込まれる」ことができたのは、この制度のおかげです。 ではなぜ番号制度があるわが国ではこのような制度が導入されていないのでしょうか。縦割りの霞が関のシステムの下で、税と社会保障を結び付けるような制度の構築は容易ではないというのが理由のようですが、より大きな背景として、皆さんと議論した番号を活用することへの抵抗が制度の議論の妨げとなっていることです。 ポスト・コロナで国民の考え方が、新自由主義的な小さな政府から、親切な国家に代わっていく可能性があります。そういう中で、番号の社会保障への活用、給付付き税額控除の導入を考えていってはどうでしょうか。 最後に改めて問いかけたいと思います。 あなたは、セーフティーネットでマイナンバー活用、賛成ですか? 日本における番号を活用したデジタル時代のセーフティーネット(所得情報と給付との連携)の構築を、皆さんはどう考えるでしょうか。*イー・ウーマン編集担当より皆様へ投稿のルール「I statement」を守り、自分の考えや体験を投稿してください。「I Statement」では、例えば「誰々はどうすべきだ」ではなく、「私」を主語とし、「私は誰々にどうしてほしい(~~を望む)」と述べることがルールです。掲載する投稿には、編集にて「私は」を入れさせていただく場合もありますのでご了承ください。
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