イー・ウーマン（ewoman）

見える経営（Jerryb・東京都・48）

社外取締役の不在や低いROEのために社長の取締役選任議案に反対票が入るのは、一任しませんという株主の意思表示の手段として有効だと思えるのですが、どうでしょうか。一部の人の利益のためになんでも反対して混乱を招くのはよくないけれど、すべてを日の下にさらして、それでも信頼されるのが企業統治の理想なのでは。

社会で育む（真打ち・栃木県・45）

社長の取締役選任議案に反対票が入ることは、(ＲＯＥが低い以上) 当然の展開と私は思う。企業側も反対票を想定した説明は準備していると、容易に想像できる。私は以前にも述べたが、会社は当初一人で起業しても成長と共に公共性を帯び、私見に偏っては弊害が生じてくる。株主は勿論、社会の動向も視野に、周囲と“共存”して育むものではないだろうか。

当然だと思います（いぬいるか・東京都・55）

「しがらみのない」立場で、多角的な視点から進言や監視を行う社外取締役の存在は、多様性の求められる現在のビジネスにおいては必須だと思います。その意味では社外取締役の不在で反対票が入ることは当然だと思います。先日、「社外取締役の2割が天下り」という調査結果を記事で読みましたが、柔軟性や多様性を重視するならば、より幅広いフィールドから（もちろん女性を含め）からの選任を望みます。

株主総会の議案はチェックします（DiamondBar・東京都・46）

私も何社かの株式を持っており、株主として株主総会の議案はチェックし、納得できない議案には反対票を投じます。取締役については経営を任せられる人なのか経歴などを見て判断しています。ただ社外取締役の場合、弁護士や会計士、聞いたことのない会社の人の場合は、どういう人物なのかわかりにくい点も多く、社外取締役というだけで賛成するべきかどうか判断できない点もあり、悩みます。

生きたコーポレートガバナンス（niconico・49）

企業経営を健全に持続的に行うための有用なしくみと捉えています。企業の中で働くなかで、ガバナンスという名の下に安易に企業活動を縛るだけのルールを設定する方向に走りがちな傾向を目にしていますが、いかに有機的なしくみをつくり対話を重ねていけるかが重要と考えています。

否定的ではない（marco302・海外・その他・43）

日本的企業の考え方では、「企業＝家族」の色が濃く、トヨタの事件についても、これが顕著になった例だと思います。しかしながら、株式を公開している企業のステークスホルダーのメインは「株主」。その株主を満足させられない条件として、反対票が投じられることは不思議に思いません。日本企業が日本企業らしくなくなる悲観はありますが、グローバル化の一つとして理解しています。

社外取締役がいなかったり、ＲＯＥが低いことで、株主総会での社長の取締役選任議案に反対票が入っていることについて、皆さんのご意見をいただきました。
（Jerryb）さんの「株主の意思表示の手段として有効」、（真打ち）さんの「当然の展開」、（DiamondBar）さんの「納得できない議案には反対票を投じる」など、総じて賛成ムードだったように思います。プロの投資家である機関投資家ではなく、個人からこうした意見が出てくる時代に変わりました。
 
「社外取締役がいない」ということは、どういうことでしょうか？
取締役の中に、（いぬいるか）さんご指摘の「しがらみのない」立場が不在ということですから、良質なコーポレート・ガバナンス体制が確立できていないということです。これは経営トップである社長の責任です。
今年５月の会社法改正で「社外取締役を置くことが相当でない理由（社外取締役を置くことのデメリット）」を開示しなければいけなくなりましたし、６月適用のコーポレートガバナンス・コードは、東証一部、二部上場会社に対して、独立した立場の社外取締役を「少なくとも２名以上」選任することを求めています。
 
また、「ＲＯＥが低い」ということは、どういうことでしょうか？
株主は資本を拠出していますが、資本にはコストがかかっています。そのコストを上回る利益を上げることができなければ、株主価値は毀損されていることになります。これも株主に対して責任があります。
経済産業省が昨年まとめた報告書が、「グローバルな投資家から認められるにはまずは第一ステップとして、最低限８％を上回るＲＯＥを達成することに各企業はコミットすべきである」と指摘したことは、企業関係者に衝撃を与えました。「８％」という数字は、株主価値の向上／毀損の分岐点なのです。
 
これらは、本来、取締役会全体の責任ですが、象徴的に社長に反対票を投じることでメッセージを送っているのです。
 
株主は、健全な企業経営のインフラとも言えるコーポレート・ガバナンス体制の確立ができていない経営者や、自らの価値を毀損する経営者に「NO」を突きつけるようになりました。（marco302）さんの「株主を満足させられない条件」が明確になってきたということです。
これらは、海外の機関投資家で顕著ですが、こうした動きは日本国内の機関投資家にも出てきていて、株主の間に広がってきています。
 
このような動きが活発になる中、これからのコーポレート・ガバナンスの課題は何だと思われますか？
皆さんのご意見を楽しみにしています。


★富永議長の過去の円卓会議
・社外取締役の役割、ご存知ですか？
・あなたの会社、社外取締役がいますか？

★佐々木かをりのWin-Win対談
「日本企業のガバナンスを高めたい！」富永誠一さん

• 2015.07.01
• 富永誠一 日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク　専務理事