働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3298 開催期間 2014年06月20日- 06月27日
またまた沢山のご意見をありがとうございました。 「多様性」がキーワードの本会議ですので、反対意見も含め、皆様のご意見はすべて大歓迎、参考にさせて頂きます。本日は「まとめ」の日ですので、1人1人へのお返事が書けませんが、どうぞお許しください。 1週間議論をさせて頂きましたが、まだまだ「多様性」確保のための「女性役員登用」ということにピンとこないという方も多いのだろうと拝察する次第です。そこで、少し例を揚げさせてください。 今、アフリカの途上国で携帯が大変普及しているそうです。スラムに住む若者でもスマホを使っており、携帯普及率は80%に及び、「Facebook」のアカウント保有率は50%といわれるそうです。携帯で送金や貯蓄を行うモバイルバンキングサービスは、アフリカ54カ国中37カ国で導入済みで、公共料金等も携帯で納入するそうです。安全でスピーディーで、かつ賄賂を介在させず小口決裁ができる「M-Pesa」というシステムが普及し、携帯を使ったマイクロファイナンス、農業保険、教育ビジネスと多方面にサービスが広がっています。先進諸国では携帯の保有率も飽和状態になり、1つのパイの奪い合いといった状態となっている現在、アフリカは携帯ビジネスの「ラストフロンティア」と言われています。 電気が引かれていない場所では充電はどうするのでしょうか。例えば無料充電ボックスのようなものが設置され、一日に1回充電に行くという方法や、安い中国製太陽光発電機を屋根の上に置いて自前で発電し、さらにはその電気を20円くらいで他人に売る、という方法もあるそうです。また、文字も読めない者にどうやって携帯の取扱説明を伝えるのか。貧困層にどういうアプローチでビジネスができるのか……。 グローバル競争の時代、というのはこのように、例えばマサイ族に携帯をいかに売るか、マサイ族にどういう携帯コンテンツが受けるのか、等について新しい発想をもって他国に先んじないといけない、という時代ということです。このような時代に、50年前の1960年台の高度経済成長時代と同様に、年配の日本人の男性だけで経営を決定していくというスキームで、今後も世界経済の中で生き残り続けられるのでしょうか。 例えばフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)が日本では1990年台から一般に普及し始め、今でもスマートフォンより普及率が高いですが、コンテンツビジネスでスマートフォン用のサービスの提供開始が遅れた企業は業績の伸びに陰りが見えています。家庭用PCは同じ頃から普及し始めましたが、当時はダイヤルアップ接続でした。あっという間にブロードバンド接続が当たり前になり、インターネットサービスもブロードバンドを前提としたものに変容しています。たった20年間でこういった変化が起きている時代です。 かような時代では、企業は常にイノベーションを起こしていかないと競争に勝ち残れません。しかも競争がグローバルですから、企業が取り残されるということは、日本経済が世界から取り残されるということです。いま、政府主導で「女性役員を企業において最低1人」「女性管理職を2020年までに30%に」ということを唱っている理由は、まさにここにあるのだと思います。 視点を国内に戻してみても、ベンチャー企業において様々な新規ビジネスを生み出しているのは若年層が多く、つまり、経営層の「年齢」における「多様性」が、新しい発想を生み出し、新規ビジネスの成功を生み出しているという側面があるのではないでしょうか。 「多様性」はこのように、イノベーションの源泉であり、企業において人材の多様性は欠かせないものと言えます。そしてその多様な発想を「異質な発想」として排除せず「多様な」価値あるものとして経営に活かしていくためには経営層の多様性も欠かせないことになります。 また、様々な企業不祥事を見ても、事後的には「何故その決定をしたのか」「何故それを見逃したのか」と思うような経営上の決定がなされているのを見るにつけ、もしここに同質な役員ばかりではなく、社長や他の役員に対し「それっておかしくないですか?」と言える、異なる視点を持つ人が1人いたら不祥事は起きなかった可能性があると思うこともあります。 例えば、肉まんに、無認可の添加物が入っていたのを「企業として公表しない」という決定をしたドーナツ店を展開していた企業の役員らに対し、最高裁が合計106億2400万円の損害賠償を命じた裁判がありましたが、もしその時、取締役会に、例えば女性や小さな子供を持つ若い世代の男性がいて「そんなものを子どもに食べさせられない。食品を扱う企業の社会的責任の観点からあるまじき行為ではないか」という発言があったら、当時の取締役会の意思決定は、もしかしたら変わっていたのかもしれません。かように経営陣における多様性は企業不祥事を未然に防ぐ可能性からも必要と言えます。 もちろん、多様性は女性だけからもたらされるわけではなく、人種、年齢層等々、様々な方向性が考えられることは背景文でも述べた通りですが、女性を登用・活用するということが「ダイバーシティの試金石」と言われています。何しろ人間の半分は女性であり、女性が男性に能力的に劣っているわけではない以上、女性を活用しないことは、特に天然資源の少ない我が国、人的資源が最大の資源である日本においては、資源の持ち腐れでもあるわけです。そして女性の登用・活用は企業のトップの「やる気」があればすぐに実現することでもあります。 「1人役員をといっても、まだまだうちの会社では役員候補が育っていなくて」という話もよく聞きますが、もし社内に候補者がいなくとも、社外役員を女性にすることは容易に実現可能です。現に女性の社外取締役を採用している企業はここ1年で50社増えて142社になったという報道が6月24日(火)にありました。そして「中からの」役員候補の養成は、その選出母体となる女性管理職の養成にかかっているわけですので、「2020年までに女性管理職を30%に」というのはその意味でも重要ということになります。 同じく6月24日には、安部首相が経済三団体と会合を持ち、「女性役員を最低1人」「2020年までに女性管理職を30%に」を再度要請し、そのための法整備にも着手すると話したとの報道がありました。 このように、時代は既に「女性の登用・活用」に大きく舵を切っています。政府の唱える女性の活用・登用は、(1)少子高齢化の時代の「労働力確保」すなわち日本の国力の維持という意味と、(2)ダイバーシティすなわち多様性による企業力の発展向上すなわち日本経済の成長・発展、という意味合いがあると考えられます。 皆様は、この「多様性」が重視されるこれからの時代をどう生きていきますか? 1週間の議論を振り返って、今後のご参考にして頂けますと幸いです。 私も皆様の多様な意見に、多くの勉強をさせて頂きました。 1週間おつきあい頂き、ありがとうございました。★金野議長の過去の円卓会議より・ネット上の法的リスク、理解していますか?・不倫のリスク、知っていますか?・すぐに相談できる弁護士、いますか?
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.