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会議番号:3313 開催期間 2014年10月10日- 10月17日
社外取締役を増やしていくための課題について、皆さんから投稿いただきました。 社外取締役はただ導入したからと言って、すぐに機能するわけはありません。社外取締役を招いた経営者も社外取締役自身も、そしてガバナンスの改善を求めていく機関投資家などすべての関係者が、コーポレート・ガバナンス向上の観点から自らの責務を自問自答して、改善を積み重ねていく必要があります。 (kyoko004)さんのおっしゃる「旧態依然の経営層の考え」は最も高い壁なのかもしません。いま日本で「コーポレート・ガバナンス」をキーワードとして企業が変革していくために、その意識を変えていただくことは絶対条件です。 社外取締役のサポートも重要な課題です。(A6M2)さんもご指摘されていました。社外取締役は経営陣と一緒になって会社のオペレーションをするのではありませんが、企業経営をウォッチするために会社のことを知らなければいけません。そのためには、就任時のオリエンテーションから始まり、取締役会に上程される議案の事前説明、会社の重要拠点の訪問、他の役員とのコミュニケーション、事業部門からのヒアリングなど、様々な取り組みが求められます。 よく社外取締役の人材不足が言われます。(blueberry53)さんの「経営者(取締役)として実績を上げ、成功する方が少ない」は鋭いご指摘です。社外取締役にどこまで求めるかによりますが、日本でもプロの経営者が増えて、引退後に他社の社外取締役になるという事例がたくさん出てくる時代になることを望みます。 しかし、それには時間がかかるかもしれません。ただ、社外取締役には多様な経験が求められますから、経営のプロでない方に社外取締役が務まらないとは思いません。「株主の代理人」として企業経営をウォッチすることが求められています。(若草物語)さんからの「人選がポイント」が大きいです。人数が増えても同じような人では仕方がないので、取締役会の構成全体を考えて、多様性のある人選を考えていく必要があります。 私が所属する「日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク(CGネット)」では、社外取締役とその候補者のための研修を行っていて、様々な立場の方が参加しています。また、会員に現役の社外取締役、経験者がたくさんおられますので、そうした方々との対話、交流を通じて社外取締役としてのマインドを醸成し、候補者を増やしていくことに貢献しています。最近は女性の入会者が増え、大変頼もしく思っています。 (violet-m)さんご指摘の「ロールモデル」は企業の情報開示の努力によって、「社外取締役の見える化」が少しずつ進展してきました。(レッズ)さんの「事例を増やすこと」も大きな課題です。社外取締役が入った取締役会がどのような行動をとって業績が向上したという事例が表に出てくるといいですね。そのためには研究者、メディアの役割が大きいです。私は多くの社外取締役に囲まれて仕事をしていますので、今後もできる範囲で情報を発信していきたいです。社外取締役の実態についてご関心のある方は拙著『独立社外取締役』をご覧ください。 なお、(A6M2)さんから「独立取締役」と言うのではないか、という指摘はごもっともです。前回のコメントで、必要なのは「社外性」ではなく経営者からの「独立性」だと申し上げました。実際、アメリカでは“Independent Director”と呼ばれています。日本では、会社法で「社外取締役」と定められているのと、すでにそれが浸透しているので、この円卓会議でもあえて「社外取締役」を使いました。私の本心は拙著の題名のとおりです。 「CGネット」では、企業からの依頼により社外取締役の紹介を行っています。もう10年以上も経過していますので、様々な事例が積み重なっています。我々が紹介した社外取締役を導入した経営者に話を聞くと、「導入してよかった」と皆さんおっしゃいます。優れた経験とバランス感覚をもった方を推薦できているし、蓄積した経験をもとに社外取締役のサポートについてもアドバイスできているからだと思います。 社外取締役というものは、企業の意思決定の場である「取締役会の活性化」を通じて、「意思決定の質の向上」を行い「価値創造」に貢献することにも、取締役会に議案を提出する執行部の準備を綿密にさせるなど「会社の足腰を強くする」ことにも寄与します。会社にとって様々な場面で役立つ存在であることを間近でみていて実感しています。 今年の6月に閣議決定された「日本再興戦略2014」で、欧州を中心に導入されている上場会社の規範である「コーポレートガバナンス・コード」を日本でも取り入れるべく、現在、金融庁と東京証券取引所が共同事務局となる有識者会議が行われています。 その場に参加していると、日本が本当にダイナミックに変わろうとしていて、「コーポレート・ガバナンス」はその鍵を握っていると感じます。上場会社は独立した立場の社外取締役が複数求められるようになるでしょう。 来年に向けて、新しい制度が動き出します。制度を動かすのは人です。企業関係者(経営者も社外取締役も)はもちろん、機関投資家などが株式会社の社会的責務と本質を改めて考えて行動していくことになるでしょう。 「CGネット」は、これからも日本のコーポレート・ガバナンス向上を支援するNPO法人として、様々な立場の方々にコーポレート・ガバナンスの重要性について考えていただくインフラを提供していきます。社外取締役と将来の候補者のための研修の場、ネットワーキングの場も提供します。 「コーポレート・ガバナンス」が日本経済の成長の鍵となると信じています。 これからの日本のコーポレート・ガバナンス、社外取締役の動向についてご注目ください。 コーポレート・ガバナンスの推進に携わる者として、皆さんからの投稿は大いに刺激になりました。 一週間、どうもありがとうございました。★富永議長の過去の円卓会議・あなたの会社、社外取締役がいますか?★佐々木かをりのWin-Win対談「日本企業のガバナンスを高めたい!」富永誠一さん
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