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会議番号:3313 開催期間 2014年10月10日- 10月17日
前回は、社外取締役と企業の価値創造、社外取締役への期待について質問しました。皆さんからのコメントでは、「社外取締役は歓迎」というムードですね。示唆に富む内容がたくさん含まれていましたが、「ダイバーシティ(多様性)」についての指摘が印象的でした。 なぜ取締役会に「しがらみのない」「多様な視点」が必要なのでしょうか? 言うまでもなく、「意思決定の質の向上」のためです。 コーポレート・ガバナンスの観点では、「しがらみのない」は「独立性」、「多様な視点」は「ボード・ダイバーシティ(取締役会の多様性)」で整理することができます。「社外取締役」といっていますが、必要なのは「社外性」ではなく経営者からの「独立性」で、その「独立性」をもって「多様性」を実現することが重要です。取締役会は企業経営をウォッチする機関なのですから、「独立性」と「多様性」の両方が求められるのです。 ダイバーシティはジェンダーだけの問題ではありませんが、第一歩としてジェンダーは重要です。(シンゴパパ)さんと(遥海空)さんが指摘された「女性社外取締役」は、日本の企業社会の大きな課題となっています。 日本企業の女性取締役の割合が、諸外国に比べて著しく低いことはご存知だと思います。監査役まで含めても女性役員の比率は2.1%にすぎない状況です(東洋経済新報社 役員四季報2015年版)。 日本再興戦略で、上場会社に女性役員(この場合、執行役員も含まれます)を1名置くことが求められているのは、意思決定層に女性を導入して、多様性からくる「活性化」を期待してのことだと思います。 個人的な見解ですが、男性よりも女性の方がしがらみのない、(良い意味で)空気を読まない発言をしているように感じます。精神的な独立性が高いようにも思います。 ジェンダーに関わらず、しがらみがなくて、多様性があった方が取締役会が活性化しそうです。また、活性化していない取締役会よりも、活性化している取締役会の方が高い価値をあげそうです。 また、女性社外取締役が入ることによって、社内に一種のロールモデルができ、女性管理職の育成に貢献する事例をよく見ています。女性社外取締役(あるいは社外監査役)と管理職層の女性が交流することによって、社内のダイバーシティ推進活動が活性化する副次的効果があるということです。 社外取締役自身はオペレーショナルなこと、例えば、商品開発などに直接タッチすることはありません。あくまで、意思決定を行う場である取締役会への参画を通じて価値創造に加わります。 取締役会で意思決定するための「判断材料」は会社の執行部、すなわち社内取締役(や執行役員、従業員)が提供します。仮に、完全な提案であれば、社外取締役は承認するだけでいいのかもしれません。しかし、完全な提案はそうそうあるものではありません。 取締役会への提案は、いわば「社内の論理」によるものです。よく「社内の常識は社会の非常識」と言われます。それがよからぬリスクをはらんでいる可能性があります。あるいは、「株主の目線」が欠けている場合があります。(mayupyon)さんご指摘の「事業再編」による価値創造は、株主サイドからみると考慮すべきポイントです。 そんなときに、社外取締役がしがらみのない立場から、多様な視点を持って発言や質問をすることによって、思いもよらない落とし穴が見つかったり、説明者が質問に答えているうちに間違いや非論理性に気づくことがあります。「社外取締役の発言や質問によって提案が一段高いところに引き上げられる」ことは社外取締役をしっかり活用している経営者からよく聞かれるところです。 取締役会は企業経営の舵取りを行うところです。そこでの意思決定、判断を間違うと、株主だけでなく、ステークホルダーへの影響は甚大です。 企業の価値創造は、プラスを伸ばす方向とマイナスを防ぐ方向と両面で支えられています。プラスの方向は、直接的には経営者のリーダーシップや従業員のやる気などによって実現するのだと思います。しかし、社外取締役がいることによって、「意思決定の質の向上」が期待でき、それが企業価値の向上や毀損の防止に役立つのです。 しかし、諸外国と比べて、日本では社外取締役の数が十分ではありません。価値創造を目的に、日本の企業社会で社外取締役を増やしていくことが求められていますが、何が課題だと思われますか? 皆さんからのご意見を楽しみにしています。★富永議長の過去の円卓会議・あなたの会社、社外取締役がいますか?★佐々木かをりのWin-Win対談「日本企業のガバナンスを高めたい!」富永誠一さん
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