働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3273 開催期間 2014年01月06日- 01月17日
人はみだりに自己の容貌等を撮影されない権利、公表されない権利を有しているとされ、その権利は肖像権と呼ばれています。法律の文言で肖像権についての明確な規定があるわけではありませんが、人格権ひいてはプライバシー権の一環として、学説及び判例上認められてきている権利です(なお、似顔絵も「肖像」に入りますのでご注意を)。 肖像権の観点からは、基本的に写真を撮影する時と、ネット上に掲載する時はご本人の承諾を得る必要があることになります。よく、著名人と一緒に写真を取った写真等がSNS等にアップされているのを見ることがありますが、記念に自分だけで保有しておくのではなくネット上にアップしたい場合は、原則的に、写真を取る前後にご本人にその旨一言断っておくべきでしょう。 友達等と飲食店で撮った写真等のSNSやブログへのアップも同様に、肖像権の観点から許諾を得るほうがいいでしょう。さらに、肖像権の観点だけでなくプライバシー権の観点から言えば、今はタグ付けその他により、どこに誰といるのか、ということが容易にSNS等に公開されがちですが、その日その場所にいることを知られたくない人もいるでしょうし(例:他の件を断ってそちらに来ている等)、また防犯の観点からも(例:地方出張中ということがわかり空き巣に入られる等)、他人と一緒の写真のアップは慎重に行うほうがいいでしょう。 なお、他人の写真の公開が必ずすべて違法となるわけではなく、最高裁の判例上は、被撮影者の人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかで線引をするとされております。必ずしも個人が特定しにくいものや、報道目的等の撮影はこの基準で救済される可能性がありますが、基本的には慎重に行うほうがベターかと思われます。 (なお、著名人の肖像や氏名等はまた別の配慮が必要で、肖像等が持つ商品の販売等を促進する顧客吸引力を排他的に利用する権利=「パブリシティ権」を侵害しないようにしないとなりません。簡単に言えば、著名人の写真や氏名を無断で経済的利用をすることはいけないということです。) また、他人が撮った写真であれば、その無断流用は写真の著作権を侵害するという問題もあります。例えば好きなタレントの写真をネット上から拾ってきて自分のSNS等のアイコンにする、というのはよく行われていますが、肖像権の観点からも著作権の観点からも許されない行為である、ということになります。 さて、肖像権や著作権の問題から少し離れますが、家族の写真の公開について考えてみましょう。SNSで家族写真をアップすることは普通に行われています。家族で楽しそうな写真は見ていても微笑ましく、こちらまで癒やされるような気持ちになることも多いですよね。他方、家族写真のアップに慎重になる方もいらっしゃいます。 例えば、数年前に、親子でテレビに出て、高収入であることを話していたとある専門職の方の子どもの方が誘拐される事件がありました。高収入であるから狙われたのだと思いますが、そうでなくとも自分に個人的な恨みを持つ人が家族への攻撃をする可能性等を考えると、家族の顔を公開することは絶対にしないという考えの方も少なからずいらっしゃいます。 また、親は可愛いと思って子どもの写真をアップしても、将来、その子が公開されたことを苦痛に思うような場合もあるかもしれません。インターネットが怖いのは、写真を一度アップした場合、第三者が別の場所に固定したら二度と回収できないということです(実際に、匿名のSNSで面白半分に一瞬だけ公開した顔写真を別の場所に保存され、晒されるというような被害も実際に発生しています)。 家族写真も、(たとえ公開範囲限定であっても)その写真を公開していいのかどうか、ということは、上記のような問題が生じる可能性を踏まえ、個々人にてご判断頂ければと存じます。 さて、次回は、ネット上の名誉毀損の問題について考えてみたいと思います。ネット上で誹謗中傷されたことはありませんでしょうか。また、逆に他人の批判をしたことはないでしょうか。匿名の発言なら身元は絶対にわからないものでしょうか? 名誉毀損の問題で悩んだことがありましたらご意見をお寄せください。また本日の写真の問題についてのご感想もあわせてお願いできればと存じます。★金野議長の過去の円卓会議・不倫のリスク、知っていますか?・離婚、考えたことありますか?・すぐに相談できる弁護士、いますか?
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