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会議番号:3247 開催期間 2013年07月12日- 07月19日
本日も沢山のご投稿をありがとうございました。 「不倫」という以上基本的には倫理の問題でもあり、ご意見には皆様それぞれの世界観が反映されて非常に興味深く拝読させて頂きました。 他方、私は弁護士ですので、主に法的観点からの切り口でお話をさせて頂きます。 不倫、法的に申すと「不貞行為」において、非常にリスクが高いのが、子どもができてしまった場合ではないかと感じております。 不貞行為をしたのが男性側で、相手の女性が妊娠してしまった場合を考えてみます。女性が「産みたい」と考えた場合、男性側にそれを阻止する手段はありません。また、今日、DNA鑑定をすればほぼ確実に父親はわかりますので、婚姻外の子どもであっても、養育費支払義務が生じます。女性側が養育費支払請求の調停を起こし、調停(協議が整わない場合は審判)にて決められた養育費は、不払になれば、給料でもその他の資産でも強制執行をされてしまいます。 そして強制執行を受けた場合、現在の民事執行法では、将来支払うべき養育費の全額を支払わない限り差押の効力を取り去ることができません。例えば、30万円の養育費の不払をして給与債権の差押をされた場合、子どもが成人するまでの将来分の養育費も含め数千万円の養育費の支払いをしない限り、給与債権への差押の効果は継続するということがあり得ます。 また、婚外子であっても相続権はありますので、自分が死んだ後の相続にも関わってくるということです。なお、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1となっていますが、これについての最高裁の判断も近くなされる予定であり、相続の問題はますます大きな問題となっていく可能性もあります。 また、家族に告げずに認知をした場合であっても、戸籍謄本を見れば認知の事実はわかります。戸籍謄本はそう頻繁に見るものではないので、不倫をした時から何年もたってから家族に知られるという可能性もあり、喉元を過ぎたと思っていた問題が十数年後に再燃するという可能性もあります。 女性の側の不貞行為で子どもができてしまった場合、産む・産まないの決定権はあるにしても、産むという判断をした場合は非常に難しい問題が生じます。夫の子どもでないことを隠して出産し、後々になってそれが発覚し、今までの養育費分を返還してほしいという訴訟になった事件もあります。 離婚リスクも、不倫のリスクのうちの非常に大きなものであることは論を待ちません。一度くらいの不倫では離婚にならないだろうと気軽な気持ちで不倫をしても、それが発覚した場合に配偶者がどうしてもその不倫を許せず、それを契機に家を出てしまい別居期間が長引けば、不貞行為+一定期間の別居期間の両者を考慮して、離婚判決が出る可能性が高いです。 夫婦間の問題は諦めがついても、相手に親権をとられてしまうと、可愛い子ども達と会う機会も少なくなってしまい(面会交流の回数は月1回が標準です)、残念な思いをする方も少なくありません。また、不倫の末に離婚に至った場合、憎悪のあまり元配偶者に面会をさせないという方もいらっしゃいます。面会交流権は直接的な強制執行のできない権利であり、養育親の協力を得ないと行使できない権利ですから、不倫の代償はこの観点からも、非常に大きいものになることがあります。 風評リスクについては、よほど著名な政治家や芸能人でないかぎり、あまりニュースバリューがないので、多少の有名人であっても週刊誌沙汰等になることは少ないです。他方で、相手が憎悪のあまりインターネットに書き込むなどした場合は、それを削除したり、あるいは発信者を突き止めたりすることは手続き的にかなり手間がかかりますので、この点のリスクもあります。もっとも、このリスクは必ずしも不倫に限らないものであり、また、marco302さんがお書きになっているように「濡れ衣」の場合もあります。 いかがでしたでしょうか。こうやって不倫のリスクをみてみると、不倫のリスクはそれが現実化した場合はなかなか困難な事態に陥るというものであることがわかります。 最終日には、その他のリスクをレビューしたいと思います。「こんなリスクもあるのでは?」「こんな実例を聞いたけれども一般的なものか?」等のご意見を頂戴できれば幸いです。また、本日の私のコメントについて「知らなかった」「知っていた」等のご意見や感想を頂戴できれば幸いです。<金野議長の過去の円卓会議より>◆離婚、考えたことありますか?◆すぐに相談できる弁護士、いますか?
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