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会議番号:3247 開催期間 2013年07月12日- 07月19日
初日から沢山のご投稿ありがとうございました。 ご相談にいらっしゃる方の話をお聞きしていてもいつも感じることなのですが、身近なケースから聞き及んだ話を一般化することはとても危険ですので、不倫にまつわるリスクの原則論を皆さんと一緒にここで学んでいくことができれば幸いに存じます。 まず、法的な意味での不倫、いわゆる「不貞行為」とは何か、ということですが、配偶者以外と肉体関係を持つことを指します。恋愛感情を抱いて交際するだけでは少なくとも法的に不貞行為とは判断されません。なお、同性愛は不貞行為か、ということについて正面から判断した裁判例はありませんが、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当し離婚理由にはなるとした下級審裁判例はあります。 不貞行為を行うと、不法行為として慰謝料を請求されることになります。不貞行為の慰謝料は200万〜300万円くらいとされる裁判例が多いです。但し、不貞が原因で離婚に至った場合の離婚慰謝料はそれより100万〜200万円は多いです(不貞行為だけでなく離婚そのものからくる精神的苦痛の分だけ多い)。 また皆様ご存知の通り、不貞行為は離婚理由になります(民法770条1項1号)。 では慰謝料請求、離婚の場合も含め、どのような証拠が不貞となりうるのでしょうか。興信所の調査記録は1つの大きな証拠となり得ます。とはいえ、その「現場」を押さえることは困難ですから、2人でホテルに入る、片方の家に入る等、密室にて一定の時間を過ごすことがわかる尾行記録等が不貞の証拠となります。仮に密室の中で肉体関係を持たなかったとしても、「何もしていません」という弁明は裁判ではなかなか通りにくいものです。 また昨今はEメールも証拠として多く出されます。パソコン、携帯を問わず、メール画面を写真で撮ったものが多いです。これも、単に2人が交際しているだけではなく肉体関係があることがわかるものでないと不貞行為の証拠とはなりません。 次に、不倫が仕事へいかなる影響をもたらすか、についてですが、不倫は犯罪ではないので、不倫が職場に発覚したとしてもすぐに業務上の不利益が生じるというわけではありません。ただ、職場内不倫であれば異動等の措置がなされることはもちろんあります。また、不貞行為により慰謝料請求をされ、判決が出ても支払わない場合は、給与債権に強制執行をされ、勤務先から「一体何をしたのか」と問われ、非常に困った事態に陥る、ということも意外と起きています。 次に家族への影響についてですが、ダブル不倫の果てに双方が離婚、ということは決して多いわけではなく、もともと不倫というのは深く考えずに行なってしまうケースが多く、つまり家族を捨てるとまで考えての行為であることは多くはなく、家族に発覚した後は最終的に家庭に戻ることが多いです。既婚者と恋愛をしている/する可能性のある独身の方はその現実を知っておくほうがいいでしょうし、他方既婚者の方にとっては、万が一配偶者が浮気をした場合も、最後には戻ってくることが多いので(特に子どもがいる場合がそうです)、子どもの前では最後まで修羅場を見せないほうがよいかもしれません。 いかがでしたでしょうか。皆様の不倫にまつわる「常識」と、法の世界の常識は一致していましたでしょうか。「知らなかった」「知っていた」「違和感がある」等のご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。 また次回は本日書ききれなかった、離婚リスク、風評リスク、不倫で子どもができてしまうリスクについてもお話したいと思います。その辺のご意見も頂戴できれば幸いです。<金野議長の過去の円卓会議より>◆離婚、考えたことありますか?◆すぐに相談できる弁護士、いますか?
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