働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3175 開催期間 2012年06月15日- 06月22日
みなさま、「アザラシと人間との共存」という、大変難しい問題に対して、いろいろとアイディアをありがとうございます。unagiさんのおっしゃる通り、1頭だけで、たまに見られるくらいならば、アイドルになれるのですが、600頭もいて、捕れた魚を網の中で食い散らかしてしまうのであれば、「かわいい」ではすまされないですよね。 mayuponさんやいぬいるかさんがご提案くださったように、漁場とアザラシが住む場所を分けられれば良いのですが、困ったことに、アザラシの居心地が良い場所は、近くに餌である魚がたくさんいる場所であり、その場所は人間にとっても良い漁場です。人間が漁場として利用していない場所で、アザラシの生息地を作るとなると、魚を養殖するところから始めなければならないかもしれません。これは、ゆきななさんが提案してくださった、「アザラシのテーマパーク」という考えに近いかもしれません。個体数調整のために、アザラシを捕獲して、他の場所に移し、そこを観光地化する、というのは理想的だと思います。あと考えねばならないのは、そのコストでしょうか……。 四葉のクローバーさんのご提案にもありましたが、アザラシが近づかないような対策を練ることも一つの解決策だと思います。イギリスでも、魚の養殖場にアザラシが来て、養殖魚を食べてしまうという問題があります。この問題を解決するために、養殖場の網に大きな音を出す機械を取り付けていて、長期間、アザラシを遠ざける効果があるようです。この機械を作るにあたっては、室内実験でアザラシがいちばん敏感に反応する音の高さを明らかにし、実際に実験してどのくらいアザラシに反応があるかを確かめています(論文はこちらです)。 日本では、アザラシの飼育もできて実験もできる、という施設がなかなかないのですが、共存のためには、室内で実験をしつつ、効果も検証して行くという作業が今後は必要ですね。 kitazakuraさんがおっしゃる通り、「バランス」が必要なのだと思います。オットセイは毛皮のために、クジラは肉のために、アザラシは肉と毛皮のために、「人間が獲りすぎていた」時代がありました。そして個体数が減ってしまい、保護されるようになり、個体数が回復して人間との軋轢も多くなってきた、という経緯があります。バランスがどこにあれば、共存できるのか? 研究者はその判断の基準となる、客観的なデータを示すことが求められているのだ、と思っています。 そしてまた、アザラシやオットセイ、クジラについて、研究でわかったことを皆様に還元することも研究者の仕事のうちの一つです。たまに都会で姿を見せる海棲哺乳類がニュースになったときに、その仲間たちが日本の周りの海にいて、彼らも私たちも海からの恵みを受けて生きているんだ、ということについて思いを馳せてもらえれば、「共存」ということに対して身近に感じてもらえるのではないか、と考えています。 この2日間で投稿いただいた方達が海棲哺乳類を実際に見たことのある場所は、鴨川シーワールド(四葉のクローバーさん)、旭山動物園(kitazakuraさん)といった国内の動物園や、メキシコ(Atlantaさん)、ケープタウン(walk714さん)といった海外でのウォッチングスポット。国内では、三河湾(オッタムさん)と御蔵島(いぬいるかさん)。いろいろな場所での印象を聞かせていただきましたが、海に囲まれている日本ですから、野生の海棲哺乳類ウォッチングスポットは他にもたくさんあります。そして、水族館も海棲哺乳類のことを身近に見て、学ぶことのできる機会を提供してくれています。 あなたは、海棲哺乳類をどんなところで見たことがありますか? 国内外の動物園、ウォッチングスポットなど、ぜひ経験談とともに、海棲哺乳類との共存についてご意見いただければと思います。 4月に津軽海峡にやってきたカマイルカ
イー・ウーマン
表参道カレッジ
eshop
©2014 ewoman, Inc.