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会議番号:3155 開催期間 2012年03月19日- 03月26日
いよいよ最終日となりました。 Yamajunさん、ふみこんさん、marco302さんほかから、「保育園で“教育”を行うようになること」を評価するご意見をいただきました。前回の続きになりますが、「総合こども園」で何が変わるのか、について少し補足させてください。 「総合こども園」の職員は、現在の幼稚園教諭と保育士の資格を併せ持つ「保育教諭」になります(注)ので、現在は幼稚園教諭にしか保障されていない「定期的な研修の受講」が必須となり、資質向上が図られます。 (注)最近では、両方の資格を併せ持つ方が大半になっているようですが、全体の2~3割の方は片方の資格しか持っておられないので、「新システム」施行後5年間は、片方の資格でよいこととし、もう片方の資格取得を(負担を最小限にするよう配慮しつつ)集中的に支援していく方向です。 昨今、幼児教育の重要性は、先進各国で広く認識されるようになってきました。幼児教育を充実させるための取組は、幼稚園のみで行われてきたものではなく、保育園の先生方のご努力で進められてきた面もあります。今回の「新システム」では、こうした取組を制度化することで、「先生方の自主的な努力に頼った状況」から「当前取り組まなければならない制度」にしていくのです。3~5歳児の約5割を占める幼稚園児に加え、約4割を占める保育園児にも幼児教育の“制度的保障”がなされることは、marco302さんが指摘された「教育の格差」の解消(防止)につながるでしょう。 「総合こども園」での「混在」(お昼過ぎに帰る子どもと夕方まで残る子ども)の問題については、「多様性を教える機会」(mondekさん)、「自立を促し、国際人として成長するよい環境」(ゆきななさん)のように、積極的に評価するご意見をいただきました。保護者と先生方の連携と配慮により、「混在」の環境を子どもたちの成長にプラスに働かせることができるということでしょう。 ぱーと救急医さんのご意見のように、幼稚園・保育園の先生方が働き続けることを前提に資質向上への意欲を持ち続けられるように、その「社会的な地位向上」を図ることは重要だと思います。 「新システム」では、NPOや株式会社等の多様な事業者の参入を促進することになっていますが、市町村等が「新システム事業計画」を立てて、保育の供給と需要見込みのバランスを見ながら必要な方策を講じることとなっていますので、いわゆる「過当競争」に陥る心配はありません。保育料も補助金も原則「公定価格」で一定ですので、「価格競争」が起こることも想定されません。事業者が増えれば、保育士等に対する需要が高まるので、通常は給与“引上げ”の圧力が働くことになります。 保護者が施設を選択する際には、通園のしやすさはもちろんですが、「子どもの成育に良い環境かどうか」(その大部分は幼稚園・保育園の先生方のご努力によるものでしょう)で判断すると思います。この判断をサポートするために、第三者評価(制度上は努力義務です)を促し、分かりやすい形で情報開示していくことが、先生方の待遇改善にもつながるのではないでしょうか。 costasさんから「当事者」本位の政策の重要性について、ご意見をいただきました。保育・幼児教育の問題は、「当事者」が限定的で(一生のうちせいぜい5~10年ですから)、「のど元過ぎれば他人ごと」になりやすい点で、「明日は我が身」の高齢者問題に比べてどうしても政治的な優先順位が低くなりがちです。そんな中、costasさんやmarco302さんのように、直接の当事者でなくとも、子育てを「社会全体」の問題として真剣に考えてくださる方がおられるということはとても心強いことです。 年金・医療の仕組みが(家族の扶養ではなく)「社会保障」として構成されているのですから、将来その担い手となる次世代の育成も「社会全体」で支えていくという方向性は、「我が国の持続可能性」の土台になるものだと思います。今回まとめられた「新システム」は、この理念を具体化する完璧なものではないかもしれませんが、そこに向けての大きな第一歩であることは間違いないと思っています。そして、これを真に実のあるものにできるかどうかは、自治体や幼稚園・保育園の先生方を始めとした関係当事者の努力はもちろんのこと、社会全体の理解とサポートにかかっているのだと思います。 今回初めて「円卓会議」の議長を務めさせていただき、こうした「率直な対話」が良い仕組みを作るためにいかに大切か、ということを強く実感することができました。 一週間、本当にどうもありがとうございました。
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