イー・ウーマン（ewoman）

最低限のプライバシー確保（シーラカンス・東京都・46）

母乳授乳の方のための、授乳コーナー。女性のための更衣コーナー。介護などでおむつを使用されている方のためのトイレコーナー。最低限、人の眼にさらされるのは困るということのために、パーティションで仕切ってコーナーを設けてあげるのが、お互いに変な遠慮を生まずに生活できるのではないかと思います。

自分以外をケアしている被災者に（シルバ・神奈川県・38）

体育館は天井が高いため、赤ん坊の泣き声は響くだろうと思います。ニュースで、夜泣きする乳児が周りに迷惑だから避難所の外で長時間母親があやしていたと聞いて本当に悲しくなりました。乳児を抱えて公の場にいるのは普通でも疲れます。女性用の更衣室兼授乳室、子どもがぐずっているときの緊急避難室を設け、「他人をケアしている被災者」のケアを考慮したいです。

安心して使えるトイレの設置を！（meguru・宮城県・35）

震災当日のみでしたが、雪で帰宅を断念して2歳の娘と二人で体育館に避難しました。阪神大震災の教訓で、避難所生活でトイレを我慢して体調を崩す人が続出したと読んだことがあり、その事は頭にしっかり入っていました。当日は我慢せず何度か利用しましたが、子どもや年配の方々にも利用し易いトイレの設置も併せて出来る避難所が必要だと強く思いました。

治安悪化の防止策（マクー・東京都・35）

不満・不安・ストレスで悪化する避難所生活は、他人との共同生活。残念ながら皆がいい人とは限りません。ある程度の荷物が入るコインロッカーは、命からがら逃げてきた中で肌身離さず持ってきた貴重品を守り抜ける設備だと思います。気分転換に家族と外に出たくても、その荷物が心配で離れられない方もいるのではないでしょうか。大きなコインロッカーなら、丸ごと盗まれることもない。100円返却式なら何度でも出し入れできる。被災者のストレス軽減につながる設備だと思います。

近場でなくて良ければ。（mayumit・東京都・49）

実家が被災地です。今回の避難所には、感謝申し上げます。プライバシーが守られる“場所”が得られると良いと思います（キャンピングカー、客船の部屋を使用する等）。移動できる宿泊施設も視野にいれていただきたい。また、寝袋も毛布の暖かさとは異なりますが空気をにがさないということでは、効果があるように思います。ぜひ、もう少し時間が経過してから同じ意見を求めていただきたい。気持ちが落ち着き、新たに名案が浮かぶように思います。

なんと野球場！！（tanibo・神奈川県・43）

我が家の指定避難所は、市営球場のグラウンド。当然屋根なんてない。避難所生活するとなったら、冬は凍死、夏は熱射病で亡くなる人がいるかも。自治体には、3、4人用くらいのテントを沢山備蓄して欲しいです。せめてテントで個室が確保できる対策を打って欲しい。

プライバシーの確保（ユズコ・東京都・57）

避難所での空間は、どれほど緊張が続くことでしょうか。計り知れません。病院で複数人部屋に入院した時のことを思い出しながら、少しでもプライバイシーを保つようにできるとホッとできるのかもしれないと思います。心と身体の緊張が少しでも和らぐ方法が見つかりますように。

とても貴重な提案、ありがとうございます。みなさんの、人間らしく生きていくために何が必要か、人間が元気になるために何が必要かという視点からの提案に、私も大いに共感し、「そうだ、そうだ」とうなずきながら読ませていただきました。
 
最初に、考えておかなければならないのは、避難所の生理的環境あるいは生存環境です。生きるためには、食べること、排せつすること、寝ることが欠かせません。この中で、避難所のトイレについて多数の提案をもらいました。トイレが不快で不便だと、人々はトイレをしなくて済むように、水を控えるなどの「危険な自衛行動」に走ります。水を飲まないと、脳梗塞や心筋梗塞になって、命を落としかねません。喜んで行きたくなるようなトイレを、どうつくるか、排便がてんこ盛りになるようなものでなく、人間のシルエットが外から見えるものでなく、そして何よりも臭いがしないものに、しなければなりません。
 
次に考えなければならないのは、生活環境あるいは心理環境です。プライバシーなどの人権が守られていることが、ここでも欠かせません。みなさんの提案で、最も多かったのは、このプライバシーにかかわるもの、人権にかかわるものでした。今回の地震でも、人目を気にせず思いっきり泣ける場所が欲しい。子どもが大声で叫んでもよい場所が欲しい、といった声が出ています。そのためには、まずはパーティションが必要でしょう。段ボールなどで、避難所の中に「我が家」をつくることができないものかと、思います。
 
この生活に関して、女性の立場から、子どもの立場から、避難所のあり方を考えることは、とても大切です。トイレを男女別にしてほしい、更衣室や授乳室を設置してほしい、子どもの遊び場がほしいトいう、被災者の切実な声に応える必要を感じています。それに加えて、高齢者や障害者に配慮することも大切でしょう。障害者を別に「福祉避難所」でケアするという考え方がありますが、私はみんなが一緒に暮らせる環境の中で、障害者のケアもはかれるといった「共生避難所」を目指してほしい、と考えています。
 
さらに考えなければならないのは、自立環境あるいは発達環境です。被災者の勇気や元気を引きだす環境がなければならない、ということです。自分で調理が出来る、自分で清掃ができる、という環境をつくることが欠かせません。毎日弁当を配られるより、自分で食事を作った方が、食生活面だけでなく精神衛生面でもよく、早く元気になれるのです。となると、調理場や自炊場は必須です。被災者の創造力や自立力が引き出せる避難所にしたいものです。
 
以上の環境を実現するためには、水や電気さらには情報をどう確保するのかといった、自立型ライフラインのあり方も考えておかなければなりません。これについては、3月30日に掲載したマイクロ発電所などの素晴らしい提案がありました。みなさんの提案を、行政に届けたいと思います。
 
さて次回は、避難所をどう管理し運営するのかという問題を考えようと思います。共同生活をどのように進めるのかなど、避難所運営に関するソフトな知恵をお寄せください。

• 2011.04.01
• 室﨑益輝 神戸大学名誉教授・兵庫県立大学名誉教授・減災環境デザイン室顧問