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会議番号:3773 開催期間 2025年04月04日- 05月30日
米国との二国間協議の先陣を切ることになった日本ですが、トランプ大統領自ら乗り出しての交渉となり、通商だけでなく安全保障についてもパッケージの中に入れようとしているようです。前途多難、太平洋波高しです。 米国はこれまで、台湾海峡や朝鮮半島での戦争を起こさせないための抑止力として在日米軍や在韓米軍の維持を前提にしてきましたが、米軍の最高司令官であるトランプ大統領の戦略は、それとは異なるようです。東アジアの抑止力に見合う「報酬」を台湾や日本、韓国から十分に得ていないと考えて、「予算削減のために日本の基地を縮小していく」(blueberry53さん)と言い出しそうです。それがいやなら応分の負担をせよと要求してくるはずです。「私に同調するなら、カネをくれ」です。 トランプ戦略をそのまま受け入れれば、「日本の防衛費がさらに上がり、歳出削減で社会保障などの財源が流用され、暮らしが圧迫される」(unagiさん)ということになりかねません。経済学の教科書には、大砲(軍事費)とバター(民生費)のトレードオフの関係が出てきますが、限られた予算で、大砲が増えれば、バターが削られるのは必至です。 私が心配するのは、トランプ流のディールのなかで、米軍の撤退をちらつかせることが中国や北朝鮮に「誤ったメッセージ」を送ることになることです。まさに、「発する言葉が極端だったり発言が二転三転したりすることそのものが恐怖」(irukakun55さん)です。米国が本気で守る気がないのなら、台湾の制圧、尖閣の占拠、韓国への侵攻などを試そうと、中国や北朝鮮の指導者が動くかもしれません。東アジアの有事に際して、米国が動かなければ、「日本が矢面に立つ可能性が出てくる」( シンゴパパさん)のは明らかです。 やっかいなのは、安全保障をめぐる日米交渉で日本が譲歩して米軍の戦力を維持したり、日本が米国の武器を買って独自の防衛力を高めたりしても、台湾海峡の緊張を緩和することにはならないことです。トランプ大統領と同じように、歴史に残る偉大な指導者になろうとしている習近平国家主席が台湾統一の野望を捨てるとは思えないからです。米国の意のままにボーイング社製のミサイルで自衛隊の兵器庫を満杯にしても、日本のGDPの4倍ある中国は、自国の兵器庫を4倍にするだけです。 「防衛力(軍事力)だけの安全保障には限界があります。日本は特に中国、ロシア、北朝鮮と外交を通して安全保障に努めて欲しい」(レッズさん)という提案がありました。ロシア、北朝鮮との協議は難しいとしても、中国とは、戦略的見地から外交のチャンネルをふやし、首脳外交も常態化する必要があると私も思います。中国との軍拡競争はなんとしても避けなければなりません。 安全保障は軍事・外交だけではなく、経済も深くかかわっています。経済的な結びつきが深くなり、お互いに戦争するのが損になれば、戦争は起きにくい、というのが経済安全保障です。「今回の関税導入は地産地消の促進ということもできますが、他国への依存度が下がることにより、紛争発生時の影響が小さくなるという面も出てきます」(DiamondBarさん)という分析の通り、関税戦争でサプライチェーンを通じての相互依存関係が弱まれば、経済安全保障の役割が小さくなります。 トランプ大統領は戦争が嫌いで、首脳同士の話し合いでディールができると思っているようです。冷戦構造から抜けきれないほかの首脳たちとは異なる世界観を持っていることは評価できるのかもしれませんが、米国第一主義の損得勘定を丸出しにされると、尊敬する気にはなりませんね。「徳は孤ならず、必ず隣あり」と言いますが、徳がなければ、いくら「平和」を唱えても孤立するだけです。 さて、この円卓会議の最後のテーマは民主主義です。トランプさんは、三権分立、言論の自由、人権の尊重など、私たちが何世紀もかけて築き上げてきた民主主義の制度や文化をこともなげに壊しています。それを承知で多くの米国民がトランプ氏に投票し、支持していることは、とても恐ろしいことのように思えます。「対岸の火事」だと言いたいのですが、私たちの周りでもあちこちで、ミニ・トランプ現象が起きているように思えます。「トランプのアメリカ」は関税なしで日本に輸入されているのではないでしょうか。これもトランプリスクです。杞憂ならよいのですが、みなさんはどう考えますか。民主主義が壊されているトランプリスクについて、あなたへの影響は何でしょうか。ご意見をお待ちします。★高成田議長の過去の円卓会議より・自民党を変える候補、いますか?・香港に国家安全条例、中国は大丈夫だと思いますか?・政治に“裏金”(不透明な資金)は必要だと思いますか?<運営事務局より>・4月25日(金)まで全4回、毎週金曜に議長コメントを更新します。それを受けた投稿を、水曜朝までを目処にお送りください。・投稿は、お一人お一人の視点や体験を言葉にしていただく、大変貴重なシェアリングです。自分を主語としたI statement で書いてください。掲載する投稿は、「私は」を主語に変更させていただく場合もありますのでご了承ください。・引用がある場合は、必ず引用元を明記してください。・議長からの各日の投げかけ(赤字部分)に答えた内容で投稿してください。
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