イー・ウーマン（ewoman）

自分のメンタルを持て余す（少年に同じ・長野県・57）

3つ目のガン、肺がん治療中です。管理職ですが、職場の上司・同僚には全て話をし、1か月程度の休みを取るたびに、私自身も周囲に仕事を任せられるようになってきました。温かくサポートしてもらっていますが、自分自身のメンタルは持て余してる感があります。ステージ4であることを意識しているつもりはないですが、やはりどこかでいつまでだろうとか余計なことを考えます。もっと気持ちは前向きになりたいのですが、気持ちの持ちようは難しいと感じる毎日です。

知識を得つつ、普段通りも大切（unagi・東京都・63）

がん治療をしながら仕事をしている友人と、こまめに連絡を取り合っています。治療方法について話を聞いたあとは自分でも調べ、きちんと理解するように努めること、あとは、「いつでも聞くよ」と伝えつつ、あまり特別扱いしない、これまで通りに仕事の話をし、食事をともにし、他愛ない話で笑う、そんな時間もメンタル維持には大切なのではないかと思っています。

心には息抜きを（真打ち・栃木県・54）

私は、一貫性がなく起伏のある感情には、寄り添う姿勢が大切だと学んだ。また、相手の言葉が自分の気持ちを追い詰めない工夫も、メンタルの適切な維持には大切だと私は思う。例えば、食事やテレビを見る時間には、一旦、終始考え詰めになりがちな感情を休ませようと努めることも、話す側・聴く側の双方で重要ではないだろうか。

話せる相手がいることが大切（まうやん・東京都・52）

いまだに経過観察の診察前は結果にドキドキしている日々ですが・・・メンタル強めの私でもさすがにガン宣告は青天の霹靂で、まさか自分がガン患者になるなんて夢にも思わず動転していたことを覚えています。その後、患者相互の話す場となるインスタやピアリングといったSNSを通じて、治療中も経過観察の今もずっと同病さんと繋がり、情報交換しつつ精神的に支えてもらっています。とにかく話せる人がおり、同感できる仲間がいること、これが一番の安定かなと思っています。

当事者の声を聴いて考えたい（JIMA・神奈川県・48）

まずはサバイバーの友人に相談すると思います。活字が追える状況であれば、議長の著書や西加奈子の本などにも頼ると思います。当時者の声を聴いて考えたい。あとは、身近過ぎない人で話を聞いてもらえる場所、カウンセラーなど（福利厚生で用意している会社も多いのではないでしょうか）を頼るかもしれません。話すことで頭と気持ちを整理できることは多いので。

そばに（n.dan　・広島県・50）

父はがんで亡くなりましたが、経営者でしたので、最後まで働いていました。仕事が気がかりだったはずですが、その分頑張れたのではないかとも思います。私もなるべく会いに行く時間を作り、母もずっとそばにいました。すぐに考えたのは、家族やまわりにいる人達がそばにいることが大事だということでした。

想像通りにはならないと思うけど（しょこ・東京都・37）

誰がいつどうなるかは分からないので、日頃から周囲との信頼関係を築いておきたいなと思った。必要なときにサポートできるように、そしてサポートしてもらえるように。 自分が当事者になった時メンタルがどうなるかは正直想像できないのですが、周りには普段通りに接してもらいたいかもしれません。仕事が両立できるかは相談して体調的な部分のサポートがあれば助かるだろうけど、急に気を使われると迷惑かけている気分になりそう。違う考えの人もいるはずなので、心って難しいですね。

話を聞いていただけるだけで十分（blueberry53・大阪府・67）

当事者になった場合、メンタルを維持するのは容易ではないと思います。ただ、もし希望できるならば、アドバイスするのでなく、話を聞いてくださる方が身近にいていただけたら幸いです。多くを望みません。

一人で抱え込まない（レッズ・埼玉県・43）

話を聞いて欲しい時、悩みがある時は、一人で抱え込まないよう、他人に相談することでメンタルを保ちたいと考えます。例え解決出来なくても、口にするだけで気持ちが軽くなるためです。医療機関の中には、患者の相談に乗ってくれるサポートセンターがある所もあります。私には癌に関する相談に乗ってくれそうな人は見当たらないため、癌を患った場合は、サポートセンターがある医療機関で治療したいと考えます。

自分のトリセツ（ナカサワ・東京都・54）

自分の取扱説明書（トリセツ）を作っています。自分が好きな／苦手な、人、もの、場所、状況、家事、仕事の一覧、さらに対策を表にしたもの。自分が弱っているなと感じた時は、積極的に「好きな」ものに触れ、対策を打ち、「苦手な」ことから離れるようにします。闘病の時でも使えるでしょうか？

身近な人の理解が必要（えこりん・神奈川県・48）

私の母ですが、1年前に肺がんが再発し抗がん剤しか方法が無いと言われ、家族で意見が割れました。母は一度抗がん剤治療をした経験から二度としたくない（これ以上の治療は望まない）、父は治療をして一秒でも長く生きてほしいと。結果、本人の意見を尊重して抗がん剤はしないことになりましたが、母は自分の意見を尊重してくれないなら離婚するとまで言い張り、子ども達は慌てました。治療方法も含めて身近な人の理解が無いとメンタルケアは成り立ちません。ちなみにまだ母は元気です！

最終日は、「メンタル」についてです。
たくさんのご投稿をありがとうございました。
読みながら、自分の闘病記憶もよみがえってきて、身が引き締まる思いです。
穏やかな日常こそ尊いものだと、あらためて感じています。
 
「少年に同じ」さん、前回につづいて投稿をありがとうございました。
「がんが見つかった時の心構え、できていますか？」の時も闘病について語ってくださいました。
職場のみなさんのご理解とあたたかいサポート、救われますね。その一方で、「自分自身のメンタルは持て余してる感があります」とのこと。
 
私はがんになったとき、仕事も終わってしまったので（自ら打ち止めにしたようなところもあります、その話は『バブル』という本に書きました）、絶望していました。
「会社」でつながっていた人びとはみな、私から離れていきました。
 
その後、フリーの物書きとしてロシア極東の製材所を取材したとき、そこのロシア人の所長さんが言っていたのです。
「朝起きて目の前に仕事がある、それほど幸せなことはない」と。
いまごろは朝晩マイナス20度を超える地、そこで所長さんは今日も木材の山に囲まれてがんばっていると思います。
毎日少しずつでもやることがあり、だれかの仲間に頼りにされるというのは、幸せなことですね。
とにかく一日一日を丁寧に、大切に。それ以上のことなんてない、いまはそう思います。
 
「経過観察の今もずっと同病さんと繋がり、情報交換しつつ精神的に支えてもらっています」
まうやんさんは職場も医療関係でいらして、抗がん剤治療のご記憶もまだなまなましいところかと存じます。私も同期には恵まれました。ただ、ある時点で、人の話を聞き過ぎているなと感じたことがあり、あるていど快方に向かってからは、気をつけるようにしていました。治療仲間と一緒にいるのは心地よいですが、誰もがやがては外の世界へ戻っていかなければなりません。
 
レッズさんの「一人で抱え込まないよう」、そして「例え解決出来なくても、口にするだけで気持ちが軽くなる」はそのとおりで、Unagiさんの、<「いつでも聞くよ」と伝えつつ、あまり特別扱いしない、これまで通りに仕事の話をし、>・・というスタンスは、同病の仲間にもよいものかなと思いました。
 
「活字が追える状況であれば、議長の著書や西加奈子の本などにも頼ると思います。当時者の声を聴いて考えたい」（JIMAさん）
体験者の本を読んだり、サバイバーの話を直接聞くのが「こわい」という人がけっこういると思うのですが、自分で読まず、家族や友人や恋人に読んでもらうといいです。で、「どんな話だったか、教えて」と。私も、がん体験者の本を読むのがこわかったので、自分は「読んでもこわくないがんの本」を書こうと思った――で、できたのがあれ（『毛のない生活』）です。
 
「誰がいつどうなるかは分からないので、日頃から周囲との信頼関係を築いておきたいな」（しょこさん）
ピンチのときに思わぬ人が登場したりもしますよね。
私の場合、いまにしてみれば、かなり精神が不安定になっていたと思います。でも、それはそれ。だからできた仕事もあったし、そのとき生まれた人間関係もある。
とにかく、「ぜったいによくなるんだ！」という信念は持ち続けていました。
 
えこりんさんのお父さまの「治療をして一秒でも長く生きてほしい」胸が熱くなります。
それでも「抗がん剤はしない」を選択したお母さまは、いまもお元気とのこと！
身近な家族がご本人の意思を理解し、尊重することで、メンタルの支えになりますね。
 
自分のトリセツ・・・ナカサワさん、さすがです。
「自分が弱っているなと感じた時は、積極的に『好きな』ものに触れ、」
それ以上に「『苦手な』ことから離れる」、同感です。
嫌なことや嫌な人からはいちもくさんで逃げましょう、がんのときは迷わずに。
 
さて、がんについて考えた一週間、みなさまありがとうございました。
ときどきこうしてテーマに掲げ、互いに思いや意見を述べ合って考える・・・これがなにより「がん」に効くのかもしれません。
情報を共有し、知恵を出し合って、心身ともに来たる事態にそなえていれば、必ず乗り越えられる――
「人は病気では死なない」のだと、私はある方に教わりました。
たとえ病気になっても、寿命があれば、人は生きる。
寿命あるかぎり、みなさんが楽しく元気に仕事を続けられますように！
 
★山口議長の過去の円卓会議
がんが見つかったときの心構え、できていますか？

★山口議長の著書をご紹介します↓
『毛のない生活』（乳がん闘病記）
『似合わない服』（乳がん、その後）

★関連テーマ
この1年、乳がん検診を受けましたか？

• 2024.03.01
• 山口ミルコ エッセイスト・作家