働く女性の声を発信するサイト『イー・ウーマン』
会議番号:3067 開催期間 2010年12月06日- 01月15日
皆さん、こんにちは。日経の関口です。今週も一週間、おつきあいいただきありがとうございました。「ウィキリークスを評価する」という方は最終的に39%で、全体の6割の方が「評価しない」という結論に落ち着いたようです。確かに何でもかんでも情報を公開すればいいわけではないのでしょうね。 今回の内部告発サイトが提起したのは、インターネットの利用について、「知る権利」「言論・表現の自由」「基本的人権の尊重」といった憲法で保障された国民の権利を今後、どうバランスしていくかという問題だったと思います。 「知る権利」はもともと「表現の自由」から派生した概念ですが、政府が外国政府とどんな取引をしているかといったことに関しては我々には「知る権利」があるはずです。そのためにマスコミの活動があるわけですが、こうした内部告発サイトもその点では存在意義があると考えられます。かじろうさんが指摘されたように、「マスコミのチェックも不十分」な場合があるからです。 「言論・表現の自由」という観点からいえば、ウィキリークスにもインターネットを通じ、自分たちが知り得た情報を一般に公開する自由があるといえるでしょう。マスメディアがウィキリークスの評価について懸念したことは、同サイトの活動を頭から否定すれば、自らの報道活動についても支障を来しかねないという点です。というのも、こうした内部情報の提供は、取材活動においても極めて重要だからです。仮に今回の外交文書が直接、マスメディアに持ち込まれた場合には、それは「スクープ」として採り上げられていたかもしれません。 しかし、マスメディアの場合は、プロのジャーナリズムとして、知り得た情報やその取材源をしっかりと検証し、誰かの「基本的人権」を脅かすと思われる場合には、内容の公開を控えます。以前、誘拐報道の例を挙げましたが、情報を公開することによって警察や外交などの公的な活動に著しい影響を及ぼす懸念があるといった場合です。情報の提供者についても、「取材源の秘匿」といって、その人の生命に危害が及んだり、社会的地位などを失ったりしないよう、名前などを明かさないようにします。 今回、ウィキリークスの主宰者であるジュリアン・アサンジ容疑者のもとには様々な脅迫行為があったといわれます。アサンジ氏はそれを承知で内部告発サイトを運営してきたわけですので、しかたがありませんが、一方、解雇や減給などの不利益を得ないように保障することで、企業の内部告発を促そうとする制度もできました。労働法のひとつとして、2004年に成立し、2006年から施行されている「公益通報者保護法」です。その場合の通報先は、告発者を守れるような事業者内部、監督官庁や警察、その他外部(マスコミや消費者団体など)となっています。 こうして考えると、インターネットによる情報公開を今後どう位置づけていくのか、ということが大きな課題になっていくでしょう。尖閣諸島での中国漁船のビデオについても、マスメディアを通じて公開すれば別な形になっていたかもしれませんが、政府当局やマスコミも場合によっては組織の論理などにより公開を避けてしまう可能もあるからです。だとすれば、確実に情報を多くの人に伝えられる手段として、インターネットによる情報公開も、今後は重要な内部告発の手段として位置づけ、その利用法や義務、制限などのルール作りを進めていく必要があるといえるでしょう。 イー・ウーマンの皆さん、一週間、本当にありがとうございました。私も勉強させていただきました。また次回もこの「円卓会議」で皆さんとコミュニケーションできる機会を楽しみにしております。
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