イー・ウーマン（ewoman）

不器用でも姿勢で評価（まうやん・東京都・51）

とにかく幼稚園に入る前から運動が苦手で、跳び箱や縄跳び、水泳など、ある程度できないと成績が頂けないものは本当に成績が悪く、さらに体育が嫌いになるという悪循環を続けていました。中学の時の担任が体育教師でしたが、その先生からは「できないものはしょうがない、でもやってみようとか、頑張ってみようという姿勢があれば成績を評価する」と言われてから前向きに考えられるようになったのが今でもよく覚えています。できなくても姿勢での評価、本当にありがたいことでした。

不器用だけど好き（おがわ・東京都・59）

体を動かすのは大好きですが、不器用です。体育の授業などでは、言われた通りにやっているつもりなのにできない、あるいは中々上達しないことが多くあり、最初からそつなくこなしている人や、どんどんうまくなっていく人がとてもうらやましく、憧れました。幸い周りから「どんくさい」などと言われたことがあまりなかったため、運動を好きでいられたのだと思います。よって、不器用な人を非難せず、受け入れてほしいと思います。

温かく見守ってほしい（本の虫・大阪府・50）

私は運動は苦手な子どもでしたが、好きでした。ただ、どんくさく、思った通りにできず、真面目にやっていないと受け取られ、体育の授業や課外活動の運動が嫌いになりました。できなくても、どんくさくても一緒に運動できる機会を作って子どもが運動好きになるようにしてほしいです。

「できる」を体験させる（DiamondBar・東京都・53）

運動が苦手で、体育だけいつも成績がよくありませんでした。特に鉄棒は苦手で、逆上がりくらいしかできなかったのですが、高校になって、教え方の上手い先生に教わったらいろいろな技ができるようになりました。高校から部活に入り、基礎体力がついた影響も多少あるかもしれませんが、できない人ができるようになるための教え方と、できたという自信が重要だと思います。競い合うことでも成長すると思いますが、できなかったことができるようになるという体験を運動の苦手な子にしてほしいです。

気付かれない苦悩（真打ち・栃木県・52）

乳児期から私の子どもは活発で、靴に穴が開くほどだったが、スポーツテストはD判定だったりと、成績には反映されていなかった。その背景に、何らかの障害が隠れている点に注視する部分では、普段 活発な分、家庭では見過ごして来たように思う。幼少期に弦楽器を習い、弾く事は出来るが楽譜を読むのは苦手など、私に酷似している。私は暗譜が得意で、ピアノ伴奏の依頼がしばしばあったが、楽譜と苦戦していた。周囲も、私が大変な思いをしているとは全く気付いていなかった。

体格の違いがどうにもならない（yuk-hat・埼玉県・37）

私は球技や道具を使う運動が苦手で不器用だなと思っています。私は子どもの頃からずっと背が低く、同級生の体格の大きい子と比べて高いところに全く届かない、ボールや道具が大きく感じて扱いにくいなど、どうしても体格の差を感じてしまうことが多かったです。よってチーム競技なども体格が不利にしかならず苦手です。持久走や水泳などの一人で、何も道具を使わないでできることが好きでした。子どもの成長の違いや体格の違いで苦手意識を持つこともあると思います。

刷り込みの怖さ（2kishir0・東京都・33）

前回の投稿にもありましたが、私も運動音痴と親や友人に言われて自分には向いていないと思い続けていました。しかし、社会人になってから興味があった合気道を始めたところ、初めて体が動かすことが楽しいなと思えました。小さい頃からやっていればもっと姿勢も良かったし、上達も早かったろうにと思いますが、聞き分けのいい大人になって始めたからこそ続けられている気も。。今思えば、小学校の休み時間に友人と走り回っていた時が、変なしがらみも思い込みもなく一番楽しめていた気がします。

苦手なままはつらい（ひるね・東京都・55）

子どもの頃から走るのが遅く、逆上がり、倒立、跳び箱、水泳などあらゆる競技ができないまま成長しました。議長のおっしゃる通り、つらくて運動嫌いになったので、楽しめるカリキュラムがあれば人生も変わったかもと思います。特に球技が苦手で、投げても狙いが外れるし、投げられたものは取れないため、周囲に迷惑をかけました。今でも相手が何か物を投げてよこすと、大抵は落とします。これが協調運動障害に当てはまるのかはわかりませんが、楽器の演奏、料理などはできています。

今は好きですが（ナカサワ・東京都・52）

子どもの頃から運動は苦手で避けていましたが、2年前からランニングを始め、今は定期的に走り、走るために筋トレする習慣がついています。やはり体力がつくと様々なパフォーマンスも上がるので、運動は好きでないともったいないなと思います。私もそうですが、学校時代に人と比較されたり人目を気にしたり、勝敗がかかるプレッシャーで体育嫌い、運動嫌いになる人は多いと思うので、先生がこのテーマを取り上げてくださったことは本当にうれしいです。

多くの参考になるご意見をいただきありがとうございます。
本の虫さんの「温かく見守ってほしい」「子どもが運動好きになるようにしてほしい」というのは、運動が苦手な子どもが周囲の人に向けての、リアルな声でしょう。
 
書籍の帯にも書きましたが、不器用さのある子どもも、本当は自分も楽しく運動やスポーツをしたいのです。おがわさん、まうやんさんからも同様のご意見をいただきました。
 
苦手意識を持つのは、比べられる、からかわれる、叱責される、無理な目標設定が課せられる、など受動的な体験による影響が大きいと言えます。
ひるねさんの「運動は苦手だが料理や楽器の演奏ができる」というご意見について、学校の教科として教えられる前に、家庭で楽しみながら集中的かつ自分のペースで習得されたことで、現在も苦手意識がなく続けられているのかと推察しています。
 
発達性協調運動障害（Developmental Motor Coordination Disorder ;DCD）が発達障害の1タイプとすれば、特性そのものについて配慮が必要です。以前の円卓会議、「学習障害（ＬＤ）と勉強嫌い、違いが分かりますか？」もご参照ください。（注；英語診断名、略語、訳語は多少の違いがあります。）
 
つまり、二次的に苦手意識を持たないように配慮する子どもたちに加えて、５％程度ともいわれるDCDの子どもたちには、特別な支援方法が必要です。大多数の人が何気なく行っている日常生活の行動は、協調運動の連続です。たとえば紐を結ぶことは約40個のプロセスがあるとされています。どこで躓くのか人によってまちまちです。この工程の最後で躓く人には、最初から繰り返すのは無駄なことで、最後の工程を集中的に取り組めばよいことになります。姿勢を保ちにくい、肩、腕、指先の筋肉の運動の連携が悪い子どもには、黒板の字を写す、自転車に乗る、ボールを投げるなど、など日常の運動に、個別に支援を要するのです。
 
DCDの診断基準には、「不器用さが、日常生活動作を著明に、持続的に妨げており、学業または学校での生産性、就労前および就労後の活動、余暇、および遊びに影響を与えている」という内容の項目があります。このことは、運動が苦手なことは、大人になっても、就労、余暇、遊びに影響を及ぼす、ということになります。
 
そこで本日みなさまには、運動が苦手なことで、大人になってどのような影響があるか、また影響が出ないようにする工夫や配慮が必要なのか、についてご意見をいただきたいと思います。ナカサワさんから「子どものときは苦手で避けていたが、今はランニングを日課としている」という投稿をいただいています。
皆さまの体験や考えをお寄せください、お待ちしています。


★古荘議長の新著です↓
『DCD・不器用な子も楽しめるスポーツがある社会のために: 運動に悩む子・先生・コーチへのメッセージ』

★古荘議長の過去の円卓会議より
・コロナ禍。心の病を持った仲間への対応、うまくできますか？
・あなたは「自己肯定感」高いですか？
・自分は発達障害かも、と思ったことありますか？

• 2022.06.22
• 古荘純一 青山学院大学教授、小児精神科医