イー・ウーマン（ewoman）

避難所に頼らない（おがわ・東京都・59）

コロナ前は「避難所まで何を持ってどうやって行くか」を中心に考えていましたが、最近は「できるだけ自宅で過ごせるようにするにはどうすればよいか」、が自分のテーマになっています。食料は備蓄していますが、これまでトイレについてあまり考えていなかったことに気が付き、簡易トイレの購入を検討中です。個々の家庭がそれぞれの場所で過ごし、避難所などの集合場所にかかる負荷を減らすようにすることもある意味「みんなで防災」なのではないかと思いました。

防災用非常食の試食イベント（Jerryb・東京都・55）

コロナ前ですが、行政とも協力して地域で乳幼児連れのお母さん方に向けてイベントをしたことがあります。保健師さんの育児相談コーナーを設けて保育士さんにも来てもらって、座敷で子どもを遊ばせながら、多様な非常食を試食してもらったり、ハザードマップの説明をしたりしました。そういった防災プラスアルファのきっかけがあると取り組みやすいのではと思います。

シーン別シナリオ（DiamondBar・東京都・53）

私の場合、被災する可能性は、自宅か勤務先か通勤途中の可能性が高い。家族それぞれのケースを想定し、どのように行動すべきかの意識合わせが必要だと思う。ビルによっては広域避難場所に避難するよりもビルに留まることを推奨されているビルもあり、災害時に水やトイレを提供しくれるビルもある。無理をして帰宅するより留まることが安全なケースもあると思う。自宅と勤務先の周辺環境も把握した上で、動くのか動かないのか、などを決めておけば通信手段が途絶えても安心できると思う。

散歩で点検と親睦を（真打ち・栃木県・52）

備えの意識を他人同士が共有するには、楽しめる要素が不可欠だと私は思う。私は、地域の散策で避難場所や危険個所を住民で確認し合う「お散歩防災」を考えている。机上で眺める防災マップだけでは不十分と考えられ、実際の移動時間に加え、発生時に想定される建物倒壊での障害物、障がい者や高齢者のいる世帯との繋がりなど、希薄になりがちな交流を保つ為にも、気軽に参加・無理なく継続できる方法が望ましいと考える。

学校での取組（綾ooo・東京都・45）

長男が高1になり、学校から緊急連絡先などの調査がありました。その際、地震発生後、すぐに帰宅せず学校で待機を希望するかどうかの質問がありました。長男と話し学校で待機する方を選択しました。家族で話し合うきっかけになるので良い質問だと思いました。小中学校でも同様の取組があると良いです。自宅が近くても保護者が迎えに行けるとは限りません。学校も待機する生徒数が把握出来るし、家庭でも話し合いが出来るので、備えになります。

自主防災組織の必要性（ひるね・東京都・55）

マンションに住んでいます。東日本大震災の時は自宅におり、お隣の一人暮らしの高齢者などにも連絡をとって無事を確かめました。しかし、マンションには防災に関する共助の仕組みなどはありません。今回、自主防災組織をつくることの必要性を感じたので、管理組合に聞いてみようと思いました。

猫砂を災害時のトイレに活用（unagi・東京都・61）

災害時のトイレまで考えていませんでしたが、震災では水洗トイレが使えなくなり、トイレを我慢したり水分補給を控えたりすることで体調を崩す人が多く出たといいます。どうしようか調べたところ、猫砂が活用できるとわかりました。便器にポリ袋をかぶせ、猫砂を入れることで消臭もでき、コンパクトに捨てられます。以前に猫を飼っていたので大量の猫砂があり、処分しようと思っていましたが、もしもに備えてとっておこうと思います。

これから（n.dan　・広島県・48）

関東エリアに比べると地震も少なく、自分事としての認識が低いです。娘が学校から防災についての資料を持って帰っています。宿題ではないので、そのままにしていましたが、一緒に考えたいと思います。

　見直しの方向性を考えるための主なポイントは次の3つです。その第1は、見落としているリスクを探し出すことです。第2は、個々人のおかれている状況に即したマイプランを考えることです。第3は、新しい着想や技術を見直しの際に取り入れることです。
 
　見落としているリスクでは、いつどこで地震に遭遇するかもしれないという視点で、見落としている場面がないかを考えることです。東京のDiamondBarさんのご指摘のように、通勤時などにも目を向けて「シーン別のシナリオ」を描くことはとても大切です。それに加えて、最近の災害の動向にも目を向け、コロナ禍の避難リスクなどを考慮に入れて、東京のおがわさんの言われるように避難のあり方を見直すことも必要です。
 
　次のマイプランでは、行政などが提起している一般的なプログラムにこだわらず、地域の特徴や個人の特徴を生かした備えをつくりだすことです。避難時の食事も、アレルギー体質の子どもにはそれに見合った食事をつくるように、それぞれが元気になる食事のオリジナルメニューを考えなければなりません。東京のJerrybさんのように非常食を試食して、個々人に適した食材を見出すとともに、オリジナルな献立をもつことも欠かせません。マイスイッチ、マイキッチン、マイシェルターを持つようにしましょう。
 
　最後の新しい型の備えでは、防災グッズの開発動向に眼を向け、周りの人の先進的な取り組みにも目を向け、備えの見直しをする上でのカタログを作ってみることです。そのうえでは、皆さん方からいただいたご提案は参考になります。この見直しのカタログをつくるうえでは、栃木の真打ちさんの散歩で点検という「現場主義」、東京の綾〇〇〇さん、東京のひるねさん、広島のn.danさんの、学校やコミュニティあるいは家族と一緒に考えるという「ご一緒主義」は、とても大切です。
　自らの命は自らで守るためには、マイプランやマイ見直しが欠かせません。これを機に、今一度見直していただければ幸いです。

★室﨑議長の過去の円卓会議より

・自宅から避難。準備はできていますか？

・あなたの地域、巨大災害への備えは十分ですか？

・避難所のあり方、提案ありますか？（2011年3月実施）

• 2022.06.10
• 室﨑益輝 神戸大学名誉教授・兵庫県立大学名誉教授・減災環境デザイン室顧問