イー・ウーマン（ewoman）

文化を継承し感じる場所がある（nekosaurus・愛知県・48）

酒蔵で丁寧に作られた酒には文化を感じますが、大量生産で添加物多量の酒には感じません。戦後復興のために食料を安定的に供給する必要はあったかもしれませんが、現代でもその必要性を完全に否定はできませんが、そのことによって失われた日本食の文化も多々あります。酒蔵を訪れ大切に酌まれた酒を頂いたとき、その一杯に込められた蔵人の想いや引き継いできたものの話を聴いたとき、「日本酒って良いなぁ」と心から思いました。文化を感じない人には、ぜひ酒蔵に行って欲しいです。

杉玉にこめられた祈り（violet-m・神奈川県・46）

日本酒の新酒が出来ると、造り酒屋などの軒先に緑の杉玉が吊るされ、杉玉が枯れて茶色に変わることで、新酒の熟成具合を知ることが出来ます。これだけでも素敵な文化です。この杉玉、元々は奈良の酒神大神神社で杉の木を神木としていたことから、ご神威が宿る杉の葉を束ね、酒屋の軒先に吊したのが始まりだそうです。八百万の神の一つ、お酒の神様に感謝を捧げる。大和朝廷の神事の神酒から続いているそうで、日本人の自然崇拝の姿を感じる素晴らしい文化です。

日本食文化に触れること（ゆうたんぽん・岩手県・51）

私はお酒を飲む習慣はありませんが日本酒は好きです。それも『冷酒』。主人の仕事の縁で年1回新潟旅行。試飲を楽しんで父や友人にお土産を買うようになりました。米処はお酒も美味しいし種類も豊富です。お酒の素となる米、日本食文化に触れることが促進に繋がると思います。

世界的には和食ブームなのに（unagi・東京都・57）

若い頃は仕事や旅行で、新潟やその他の東北各県に出かけると吟醸酒には手がとどかないものの土地の地酒を土産に買って来た事を思い出します。今ではビール、発泡酒、焼酎、そして最後に気が向いたらたまに日本酒となってしまいました。個人的に和食を食べる機会が減ってしまい、そのために日本酒を飲む事も少なくなった気がします。和食と日本酒を飲む事は、リンクしていてそれ自体が文化といえるのかも知れません。和食ブームに乗じて日本酒が飲まれる事を期待します。

日本酒の魅力を伝える（ＮＯＢＵ・神奈川県・55）

昔から伝わる伝統的な手法を守って酒造りを行う、新しい技術に挑戦する、蔵の方たちが自分たちで無農薬の米を栽培する。日本酒を造る蔵の方たちの仕事は素晴らしいです。日本酒の素晴らしさを多くの人に伝えていけたらと思います。家の近くのＫ田屋酒店さんでは、蔵の方を呼んで利き酒会を開いたり、料理と日本酒の会を開いたりしています。日本酒の魅力を蔵の人たちと共に伝えていけたらと思います。

楽しみ方も併せて文化（blueberry53・大阪府・61）

出来上がったお酒にも日本を感じさせられますが、その製造過程についても非常に日本的なものを感じます。また、詳しくはわかりませんが、酒米の生産や水の採取などにも日本的なところがあるのだろうと思います。ただ、現実的には、食事時に飲まれるワインと異なるように、楽しみ方を合わせて他の方に伝えなければ、文化としては伝わりにくい気がします。

日本の大切な文化（kko・海外・その他・52）

私自身はあまり詳しくはないのですが、それぞれの日本酒には由来やうんちくがあると思います。飲み方でも熱燗や冷やなど1年中楽しめ、おちょこやグラスなど見た目で楽しむこともできます。2日めのNOBUさんの日本酒名の投稿に惹かれましたが、名前が多様で想像力を掻き立てられます。書いていて、改めて日本酒は奥が深いと思いました。米国では日本酒の情報があまり入って来ないと嘆きましたが、私が調べて教えてあげるのも楽しそうだと思いました。

皆様、たくさんの投稿をいただき有難うございました。
今回素晴らしい機会をいただきましたが、普段、私が接しているお酒の関係の方々以外の皆様からのご意見は、毎回ワクワクとドキドキが交錯しておりました。それぞれの皆様の生活や視点からの示唆にとんだ投稿に感謝いたします。
 
皆さんへの最後の質問は、「日本酒に文化を感じますか？」　でした。
 
日本酒の国際化に向けて、日本酒を世界に発信するために、2007年に、若手の蔵元の全国組織「日本酒造青年協議会」の皆さんと協力して世界最大規模のワインコンペティション、ＩＷＣ（International wine challenge) にSake部門をつくる事が出来ました。
まだまだ、全部の生産量の2％（155億円程度）しか輸出されていない日本酒が、今以上に、世界的に価値自体が定まっていなかった10年前にワインの檜舞台にワインと並び、品質の良いものを世界に発信出来る環境をつくったのです。
 
世界に日本酒の販路を広げていくには、既に酒販のライセンスを持ち、販路も持っているワインビジネスのネットワークに日本酒を乗せていくしかないと思いました。2013年に農水省の事業で製作されたＤｉｓｃｏｖｅｒｙＣｈａｎｎｅｌの番組を紹介させてください。この年にチャンピオンとなった福岡県八女市の「喜多屋」さんの木下社長に、ＩＷＣにＳａｋｅ部門新設に尽力してくれたサムが「どこの地域の蔵ですか？」と聞いています。
 
日本酒の国際化は、全国に広がる酒処を世界に紹介する事になるでしょう。また、2015年にチャンピオンサケに輝いた福島県喜多方市の「会津ほまれ」さんが、地元のお祝いの会のために製作した映像をご覧ください。その年には、チャンピオンサケ候補となる各部門の最高賞トロフィー7部門に2つ喜多方の蔵が入ったのです。これは、震災後、最もポジティヴな福島の発信となったと思います。
 
そして、これはＩＷＣにSake部門が出来て10周年となった昨年、地方創生と、兵庫県産山田錦生誕80周年を記念して兵庫県がＩＷＣ　Sake審査会を誘致してくれた記録映像はこちらです。
 
そして、今年、震災の時に全国が沈んで、宴会や外食を控えてしまい飲食業が大打撃を受けていた時に「お花見を止めないでください。東北のお酒を飲んで支援してください。」と訴えた、岩手県の南部美人さんがチャンピオンとなりお祝いの会で披露された映像がこちらです。
 
こうして、グラスの中の世界を追求し、世界に優れた日本酒を紹介する環境をつくる事に情熱をかけてきましたが、そんな私自身が、日本酒のソフトパワーを強化するには、グラスの外の世界、日本酒の文化を、同時に世界に紹介していかないと、日本酒のもつ可能性や、本来の価値を充分伝えることは出来ないのではないか？というおもいが深くなってきたのです。 そうした理由で、日本人である皆さんに、「日本酒に文化を感じますか？」　をうかがったのです。
 
今回投稿してくださったのは、40代から60代の方々で、今、もっとも社会に影響力のある世代から投稿いただけた事に心強さを感じます。violet-mさんやkkoさんからは2回目の投稿をいただきました。本当に有難うございます。
 
皆さんに共通するのは、日本酒の文化を含む、文化が失われていくことへの心配をされている事です。
人生の折り返し近くになり、次世代への心配な気持ちもフツフツしてくる頃、私も全く同じです。
 
これまで、ほとんど国内需要だった日本酒を世界に紹介し、その価値を国際的に上げていく事は、今の私達の世代が出来る次の世代へのプレゼントになると思います。
 
日本酒を世界酒へ、Ｓａｋｅから観光立国に向けて、是非、皆様のお力をお貸しください。応援、よろしくお願いいたします！

• 2017.11.10
• 平出淑恵 株式会社コーポ・サチ 代表取締役