イー・ウーマン（ewoman）

周囲の協力（ゆきなな・海外・その他・30）

必要なのは会社と周囲の理解です。子どもの年齢やお迎えの時間を周囲が熟知した上で、仕事ができているので、自分のできること・できないことがはっきりしている点が以前よりメリハリを生んでいます。また、子どもをあずけている学校も、私が仕事をしていることを知っているので、お迎えの時間に多少遅れた日があっても、柔軟に対応してくれることです。安心して仕事ができますし、感謝の気持ちを忘れずにいられるので、人間関係を円滑にし、いい循環だと思います。

権限と裁量の範囲（blue sango・福岡県・43）

営業管理職で二児の子育て中です。部署内の意見取りまとめやスケジュール管理、また資料作成の指示など、ある程度自分の裁量で進めることができます。何をどこでどの時間でどのくらいかけてやるのかを決める。また、それに合わせて部下に期限やスケジュールを指示する。ツールがあっても、ある程度の権限がないと現在の仕事量を限られた時間で進めるのは難しかったのではないかと考えます。お願いする側のマナーとして、事前に都合を聞く、協力を求める、早めに指示を出すを心がけています。

俯瞰的、長期的に考えてみる（讃岐小町・香川県・52）

自分一人でできることは知れていて、とにかく様々な「相手」あっての人生だと思うのです。その相手が、例えば家族なら、家族も喜んでくれるような働き方をしたいと思います。子どもに、親との触れ合いの時間が必要な時期には、仕事を（一部を）「手放す」という選択も必要。その時期を終えると、また、しっかり働けますから。自分の働き方を俯瞰的に長期的に考えてみることも大切だと思います。

メールチェックの時間を制限（Ai・兵庫県・38）

会社のメールは全て携帯に転送されるので、基本的には家でも仕事はできますが、緊急性のある連絡が予想される時以外はあえて携帯を子どもの前で出さないようにしています。いざというときに、メールと社用携帯で仕事ができてしまう環境は確かにフレキシブルですが、それを使う場面、つまり仕事のon/offを自分で決めて制限することは自分のためにも家族のためにも大事だと考えています。

人間としてのソフトスキル（mondek・神奈川県・37）

IT技術の進歩で、人間としてのスキルの優劣が一段と引き立つようになったと思います。アナログ中心の時代にはある程度の閉鎖性をもって隠せていた人間性のような部分が、透明性がより求められるITツールの浸透により以前より表に表れるようになったと思うので、そういったソフトスキルの精進が、相手との相乗的なコミュニケーションを生み、ひいては全体的なフレキシビリティを挙げる結果につながるように感じています。

組織の体質がはばんでいます。（レッズ・埼玉県・31）

保険会社に勤めておりますが、情報漏洩防止のため、家など外部で仕事することは極力しないよう指示されております。メールやインターネット、モバイルPCを駆使して仕事をしておりますが、数年前からも使っているため、それほどフレキシブルになっておりません。在宅勤務の実現は難しいので、せめて今より効率的に仕事が出来るようなシステムを導入してほしいのです。しかし、システムにお金を掛けただけ人員を削減するような会社でもないので、それも難しいのが私の会社の現状です。

情報漏洩対策が却ってネック（laila・東京都・42）

情報漏洩防止対策で、会社のメール、電子書類を社外に持ち出せなくなりました。持ち出すときは、所属長の電子署名を貰う必要があります。実験後、データを持ち出そうと思った頃には、既に所属長は帰宅、なんてことはしょっちゅう。従来やっていた「データを自宅で纏める」ことが出来ず、書類をまとめる時間が無い時は、深夜残業＆休出を強いられます。よって、数年前と比べたら、全くフレキシブルではなくなってしまいました。

フレキシブルは疲れます（みやぎ・東京都・37）

数年前はノートパソコンを持ち運び、いつでもどこでも仕事モードでしたが、子どもができてから帰宅後は一切メールを開かないようにしたら、プライベートが充実しました。仕事時間とプライベート時間をはっきり区切ることができて、人生が2倍になったようにさえ感じます。眼精疲労や頭痛も減りました。同僚には最初のうち多少不便を感じさせてしまいましたが、そのうちに「この人は帰宅後メールを見ない人」と認識してもらえたので今は問題ありません。

ミーティングのマネージメント（lady・埼玉県・43）

会社の会議体が、融通が利かないので、そのタイミングで外出したり出張したりができません。年間の主要会議を事前に決めておくことは必要かもしれませんが、参加の是非を判断させてもらえるようになって欲しいと思います。

フレキシブルな働き方を可能にするため「IT以外で必要なこと」について、たくさんのご意見をいただき、ありがとうございました。
 
周囲の理解と本人の感謝の気持ち、本当に大事だと思います。良好な人間関係とコミュニケーションがあってこそのIT活用ですよね。また、権限と裁量も重要です。単にITツールがあるだけでは柔軟な働き方は難しいです。上司の細かな指示を待つことなく、自分の判断で仕事を進めることができる働き方が広まるといいなと思います。私自身の仕事は「裁量労働制」で、このことが柔軟な働き方を可能にしています。
 
一方、必要ない会議にも参加を余儀なくされたり、情報漏洩防止対策が柔軟な働き方を難しくしていることも分かりました。組織の風土やコンプライアンスの問題、様々な企業で聞きます。
 
今回「フレキシブルな働き方」についてうかがったのは、これが、ワーク・ライフ・バランスに不可欠な要素だからです。
 
6年前、米国の働く親を対象にワーク・ライフ・バランスに関する調査を行いました。その時、皆が口を揃えて「フレキシブル・ワークについて調べているのね」と言ったのです。米国のホワイトカラーにとっては、ワーク・ライフ・バランス＝柔軟な勤務形態だったのです。当時の日本では育児休業や保育園に関する話題が多かったので、着目点の違いに驚きました。
 
このテーマ、最後にうかがいたいのは、フレキシブルな働き方とワーク・ライフ・バランスについてです。ITを活用してフレキシブルに働きながら、私生活を仕事に浸食されず、ワーク・ライフ・バランスを保つために、どんな工夫をしていますか。
 
「帰宅後や子どもの前ではメールを見ない」ことを実践している方のご意見はすでに多く寄せられています。私も〆切前以外は、帰宅後、子どもが起きている間はパソコンを開かないことが、バランスを取る上で大事だと感じていますが、皆さんはいかがでしょうか。育児関連のみに限らず、多様なご意見をお待ちしています。

• 2012.03.30
• 治部れんげ 経済誌記者