イー・ウーマン（ewoman）

厳しい監視と評価を（いぬいるか・東京都・51）

まず、利用範囲を「税務と社会保障のみ」のように明確にし、定められた利用目的以外には使われないことを前提にして欲しい。その上で、森信議長がおっしゃるように、第三者機関による不正利用の監視を厳しく行うことを望みます。第三者機関も一つでは不安なので、常時監視する機関、定期的に評価する機関など複数設け、評価の結果も情報公開して欲しいと思います。

何故NOかが問題（Ａ６Ｍ２・愛知県・54）

所得の適正な捕捉も、税と社会保障の一体化も、避けて通れない問題です。国民番号の問題点を未然防止する技術もありますし、法的保障措置に欠けるところがあれば、立法的な手当をすれば良いだけのことではないでしょうか。反対論は国家のプライバシー侵害を過大に問題視していると思います。できない理由をあげるのではなく、実現できる仕組みを考える時期にあります。このままでは、所得を捕捉されていない人々の既得権益を、結果的に擁護するだけになると思います。

これからの税制をみつめて（yama-chan・静岡県・39）

現在の日本の財政をかんがみるに、抜本的な税制改革は必要不可欠だと思います。法人税引き下げ、消費税増税、それに絡む弱者救済上の減税など。また地方を中心とした独自の税制なども考えられると思います。国民を管理しやすい状況を構築することは必要なことだと思います。反対意見に怯えるのではなく、政治家としての義務を全うし真摯に国民に向きあい、説明をすることで、決して不可能な施策ではないと思います。

個人情報保護と言うけれど……（DR880・栃木県・38）

私は、番号制度導入に賛成です。もちろん、管理する側のキチンとした体制が整っていればの話ですが。年金問題のようになっては、意味がありません。よく、同じ役所の中でも、横の繋がりが出来ないせいで、死亡届を出した老人の所に高齢者調査の依頼が届く話を聞きます。おかしいですよ。

正確で効率的な管理で福祉向上を（たつや・静岡県・57）

人事・総務系の仕事をしていると、社員一人一人に様々な記号番号がついていることに驚きます。厚生年金・健康保険・雇用保険・住民税・自動車免許証・各種資格の登録番号等々。届出先が情報を共有できたらどんなに事務作業が簡略化されるかと思うこともしばしば。これは情報を管理する側にとっても同じこと。社会生活に必要な個人情報を一元管理し、必要な公共機関が必要な情報をそこから入手できれば、より正確で効率的な処理が可能になり、福祉の向上につながると思います。

プライバシー保護が先（にゃおん・埼玉県・43）

番号制度導入と同時進行で個人情報管理の法整備をしていくのではなく、法整備をしてから、番号制度導入の議論を始めるほうが、私は納得できます。不正利用を監視する第三者的機関は、必要だと思いますが、果たしてその機関さえ信用できるのか？　海外では問題がおきていないのか？　考え出したらきりがありませんが、そういうことを含め、さまざまな角度からとことん議論してほしいし、その議論をきちんと公開してほしい。それがわかれば、番号制度の利点にもやっと目がいくのになぁと思います。

反対です（だいわ・東京都・43）

大学時代から一貫して反対です。最大の理由は国家による個人の統制に反対だからです。納税者背番号制は公平、公正な社会構築には大変有用だと思います。しかし、戸籍制度などにもあるように国家が個人情報を逐一把握するような制度は、国民のあらゆる自由や権利、安全な生活を侵害する危険性があります。国家にどのように個人の情報が利用されるかはっきり分からない以上、私の情報をすべて国家に管理される事は賛成できません。

1日目より、ややNOの投票が増えています。これは、プライバシーの問題を正面から議論したことによるのでしょうか。
 
NOのにゃおんさんから、「様々な角度からの議論と公開を求める」というご意見や、「国家管理には反対」という意見が届いている一方で、賛成のyama-chanさんからは、「真摯に国民に向きあい、説明をすることで実現可能」という意見が見られます。
 
政府が早く具体案を作って国民的な議論を行うことの重要性は全く同感です。私は3年間にわたって、番号制度に関する提言を世の中にしてきましたが、やっと政府が動き始めた、というのが正直な実感です。
 
さてyama-chanからは、「番号の導入により、どのような税制改革が行われるかが重要」という意見も寄せられました。そこで今回は、諸外国が番号を導入して、どのような国民サービスを行っているかということを見てみましょう。
 
新たな政策の第1は、ばらばらな社会保障制度・税制を整理統合した新たな制度を作ることが可能になるということです。キーワードは、「給付付き税額控除」という制度で、中所得者には減税（税額控除）、課税最低限以下の人には給付を行うものです。子育て支援や勤労インセンティブを向上させる効果があり、ほとんどの欧州諸国で導入されています。この制度は、将来消費税を引き上げる際の逆進性対策としても使えるので、極めて有益な制度です。
 
もうひとつ、「記入済み申告制度」が可能になります。これは、北欧諸国で始まり、先進各国に急速に広がりつつある制度です。雇用主や金融機関等の第三者から提出された情報に基づいて、税務当局が納税者の所得金額や源泉徴収税額を申告書に事前に記入した上で納税者に示し、納税者が記入内容を確認することで申告が終了する仕組みです。
 
従来、申告内容のチェックに使っていた資料情報を、納税者の申告支援のために活用することにより、納税者の申告書作成事務を大幅に緩和することになります。納税者の負担軽減を主目的としたこの制度は、政府（徴税機関）と国民との関係・ありかたを改めて考えなおすものといえましょう。将来的には、e－taxと組み合わせた自己申告制度への転換も可能になります。

このように、納税者番号の導入により、国民利便の向上につながる税制は数知れません。政府はこのことをもっと国民に説明することによって、番号導入の議論を掻き立てる必要があるといえましょう。
 
このような国民に必要なサービスを始めていくために、番号制度をわが国に導入する、ということに対して、皆さんはどう考えますか？
これが今日の問いかけです。

• 2010.12.03
• 森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹、中央大学法科大学院特任 教授